3話『へい、アレクス、最強軍団が村作りって何?』
「へい、アレクスさん、調子はどうですかい?」
「ボズゥ、絶好調だ!」
「おい、ルン。今のは俺への質問だろ。お前が返すな」
俺がルンに向かって言うと、ルンは頬を膨らませる。
筋肉達はガハハと笑う。
そんな光景を見て、俺は思うのだ。
どうしてこうなった?
ルンたちがやってきて一月程度たった。
するとどうだろうか。俺の小屋と小さな畑だけだった村が。
今では、立派な村になっていた。
家も沢山建ち、畑も大きくなっている。森を切り開き、木も切り倒し、整地もした。
流石、第三騎士団だ。ありとあらゆる雑用をおしつけられたせいで、異常に体力と技術がある。ありすぎる。予想以上に村がデカい。
「アレクスさーん!」
獣人のヴォイアがやってくる。
彼女の役割は、獣人特有の嗅覚と聴覚での危険察知と狩りでの案内役。
あと、癒し。ちいさくてかわいい。
「おう、どうした?」
「いえ、匂いがしたので」
「そ、そっか」
「はい!」
俺がそう言って頭を撫でると、嬉しそうに微笑む。
そして、ヴォイアは少し戸惑いを見せながら俺に問いかけてくる。
「あ、あの、アレクスさん」
「ん?」
「えっと、その……あの! おにいちゃんって呼んでいいですか?!」
俺は、言葉を失う。意味が分からん。
すると、横からルンが。
「それはダメだぞ! ヴォイア! それはなんかダメじゃないか!?」
ルンは支離滅裂に否定。
いや、俺が困ってるから助けてくれてるのは分かる。
「だ、だって、もう上司とかでもないんですよね? じゃあ、おにいちゃんって呼びたいです。だ、だって、年上ですよね? おにいちゃんって呼んでおかしいですか?」
ヴォイアのウルウルとした瞳!
「おか、しくない……」
俺は、そう呟くしかなかった。
「そっかぁ。よかった。なら、おにいちゃーん」
そう言って抱き着いて来るヴォイア。
「おい! ヴォイア! それはなんかダメだろ!」
「おにいちゃんだからいいんですー」
「今すぐ、離れろ!」
「わたしおにいちゃんの為にもっともっと頑張るね!」
ルンは、必死に俺から離れさせようとしているが、流石にちいさくてかわいいヴォイアを強引に剥がせず困っている。
そんな様子を筋肉共は羨ましそうに見ている!
お前らもしかして、ヴォイアのことを……?
「あの、アレクスさん……俺らも、兄貴って呼んでいいですか?」
そっちかよぉおおお!
てっきりヴォイアの事を好きなのかと思ったよ!
「あ、ああ……うん、別にかまわんよ」
「「「やったあああああ!」」」
筋肉共が喜んでいる。それに続いて、エルフのロロル・ロルル姉妹が、
「「弟君って呼んでいい?」」
「ま、まあいいか。好きにしてくれ」
「「やったあ!」」
ハイタッチをして喜び合う二人。
続きましてー、魔族のルググ。
「わ、わたしは心の友と君を呼んでも……?」
「好きにしてくれ……」
「やっびゃあ!」
次、ドワーフのノソス。
「ワシは、兄者と呼ぶことにしよう」
「はい」
妖精プルア。
「アレクスちゃん!」
「どうぞ」
そして、何故か律儀に最後尾に並んでいたルン。
「わ、わたしは……アレクスとしか呼ばないけれど、一番のお前の相棒はわたしだからな! そこだけは忘れるなよ!」
「お、おう。わかったよ」
村には、様々な種族が集まっている。
人間、獣人、エルフ、魔族、ドワーフ、オーガ、鬼人、小人、妖精……。
こんなにも色々な種族が何故か、全員それぞれ俺の呼び名を欲しがり始める。
「なんでコイツ等呼び名にこだわるんだか……」
「へい、アレクス。お前馬鹿だな」
馬鹿に馬鹿と言われた。すると、得意げな顔で馬鹿は言う。
「みんなお前が好きだからだよ」
馬鹿の回答に開いた口が塞がらない。
正解であったとしても恥ずかしすぎるだろ、それ。
まあ、正解がどうかは分からないがなんかやる気出た第三騎士団共はそれぞれの個性を生かし、立派だった村を更に発展させ、壁に囲まれたほぼ街を作り上げるのだった。
いや、なんでだよ。
「へい、エーアイ! 最近第三騎士団がいなくなったせいで雑用が増えてかなわない! なんとかしろ!」
「新たな第三騎士団を作ることを提案します」
「お前がなんとかしろ!」
「では、以下の人材をお願いします。最強の獣人、最強のエルフ、最強の魔族……」
「そんなものがいたら第一騎士団にいれるわー!」
次回! 4話『へい、アレクス、スキルって何?』は13時更新!
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