最終話『へい、アレクス、馬鹿って何?』
「へい、アレクス! 遊びに行くぞ!」
「ルン、お前な……」
俺は目の前に立っているルンを見て溜息をつく。
こいつには俺が何を言おうが無駄だ。
ルンは馬鹿だ。馬鹿だから止まらない。
だから、諦めてる。ずっと前から。
「で、どこに行くんだ?」
「どこがいい?」
馬鹿だ。
そして、その馬鹿は伝染するらしい。
「おにいちゃん! 獣王様の所に行かない!? おにいちゃんに会いたいって」
「「弟君! エルフの大賢者に会いに行くのはいつ!?」」
「心の友よ! 私と魔王様の所に遊びに行く予定はどうなってる?」
「兄者! フェニックスの巣にオルハリコンを取りに行こうぜ!」
「「「「兄貴、帝国での武術大会見に来てくださいよ!」」」」
全員が楽しそうに俺を誘ってくる。
まあ、エーアイのお陰で村の運営は王都張りの業務だが楽になった。ほんと凄いよエーアイ。めっちゃすごいよ。最後に決定を出すのは俺だし安心。
だから、まあ……いいか。
「分かったよ、じゃあ、行くか」
「「「「「やったー!」」」」」
全員の声が重なる。そんなバカ騒ぎの中で、エーアイが近づいてくる。
「マスター」
「なんだ?」
「予定外のことですが、ワタシも連れて行ってくださいね。マスターのお傍でマスターの御心が知りたいのです」
エーアイの言葉に俺は苦笑する。
エーアイは心を読み取ろうとしている。
でも、大変だぞ。心なんてほんとめんどくさいもんなんだ。
「お、おい! アレクスの隣はわたしだ!」
ほら、めんどくさいのがやってきた。
だけど、だから、面白い。
俺は隣を死守する馬鹿を見ながら笑う。
馬鹿もそれに気付いて笑う。
「じゃあ行くかあ!」
「って、今からかよ! ほんとお前は……馬鹿だなあ!」
こうして、エーアイにも分からない馬鹿みたいに騒がしい毎日が続いていく。
「へい! アレクス、お前の隣にいるのは誰だ?」
「馬鹿か? お前に決まってる」
隣に最高の未来を連れたまま。
完結です! お読み下さりありがとうございました!
よければ、完結まで読んでの☆評価1でも2でも3でも4でも5でも5でもいいのでよろしくお願いします!
今回、コンテスト用に文字数切り詰めたので、いつか全力描写バージョンも書けたらなあと。
脳筋女騎士は書いてて楽しかった…!
新作現代ファンタジーです!
『帰宅部がダンジョン配信に映りこんでた』
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