表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/57

「怨」第三十四話

「禍々しい、禍々しいなぁその剣は! ブレイバの野郎が持ってた『導きの剣』カリバーンは……もっと輝いていたぞ!」


 黒い何かに包まれる剣、まとわりつき硬質化していくそれらは……僕を守る美しい「鎧」へと変貌していった。試したい、この力を……勇者の力を!


「――っはぁぁはははははははっっッッッ!」


 ――『静』。放たれ続ける拳のラッシュを一太刀で受け流す、宙を黒い何かが舞い踊る……美しい、もっと見せろ! 一撃一打を全て受け流し、的確に……隙を、見つけた。


「あうひぃぃぃぃぃぃ『撃』ぃぃぃっ!」

「ぬごぅっ……ぐぅん」


 魔力は最大、同時に黒い何かで構成された刀身も吹き出し肥大化する……高質量広範囲の一撃をもろに食らったそいつは、先ほどの僕のように吹き飛んでいった。


「ガバっ! ……ごばっ、おごっ」


 岩に背中を叩きつけられると同時に鈍い音がした。きっと、骨が折れたんだろう……素晴らしい、強く美しい! それでこそ勇者の武器、それでこそ勇者の持つべき強さ‼ さぁ最後の慈悲だ、苦しんで死ぬよりも……きちんと首を刎ねて楽に殺してあげなきゃねぇええええええええええ! ……え、ええ?


「機嫌が悪そうだな『憤怒』。奇遇だな……私も今、脳味噌が爆発するほど頭に来ているんだ」


 片腕が、無い! 何だ、何が起きた? 「鎧」が効かない……いや、「鎧」ごと切られた!? ありえない僕の勇者の力が負けるだなんてそんな嘘だふざけんなよぉおいいぃぃぃぃ。


「だぁぁれだよぉおまえええええええええええええええ!!!!!!!!」

「誰かって? お前が憧れてる元勇者様だよ」


 次の瞬間、僕の体は次々に切り刻まれていった……再生はするが、また斬られる。再生が追い付かない、死ぬ、痛い……痛いぃィぃィぃ!


「―――れつ」

「……! 『静』!」


 最早、無意識。渾身の力を振り絞って放った一撃は……広範囲の衝撃波として全てを吹き飛ばした。しね、死ね、しね!


「……よくも、私の息子を」

「あーばばばばばばゆうしゃゆうしゃ、ぼくはゆうしゃ、ゆうしゃ!」


 ちょっとずつ気持ちよくなっていく頭の中、邪魔するあいつは殺さなきゃ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ