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第三話
「……その、悪かった」
家に戻ると、ブレイバさんが頭を下げてきた。
少し禿げてきたつむじには誠意が籠っており、本気で申し訳ないと思ってくれているよう
だ。
「気にしてませんから、母さんに昨日のことを報告してただけですよ」
「ほんとか? 一発殴らなくて大丈夫か⁉」
「え~、殴ったらブレイバさん強いから負けちゃいますよ~」
「良い! 反撃しないから!」
「ははっ、冗談ですよ」
僕は不安そうな顔のブレイバさんの横を通り、立てかけてあるほうきを手に取った。
「掃除なら私が……」
「あんな姿勢でいたらまたぎっくりしちゃうでしょ?僕がやっときますからゆっくりしといてください」
「……じゃあ、頼む」
少ししょんぼりした感じで、ブレイバさんは2階の自分の部屋へと戻って行った。
「……はぁ」
僕はため息をつき、再び外に出る。
「火へのコンプレックス、何とかしなきゃな」