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「怨」第二十五話
所々出てくる魔物を粛正していると、ぼんやりと、遠くに明かりが見えた。村の明かりだろう、目を凝らすと囲むように柵で覆われていた。
僕は走った、お腹が空いていたからだ。村の人間に自分が勇者だという事を説明すれば、きっと食べ物を分けてくれる、家だってくれるかもしれない。
(村の金品をあらかた持っていこう、いい装備を買いそろえるには、さっきの金だけじゃ足りない)
だが考えが変わった。僕は勇者、一分一秒に価値があるため、守られる側にいちいち説明する義務はない、そうだ、守ってやるのだから金ぐらい払ってもらわなければ。
走っているうちに村に着いた、思っていたよりも大きな村だった。
「本当なら眠りたいところだけど、まぁ、仕方ないよね」
僕は取り合えず、一番金を持っていそうな家の中に入った。




