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「怨」第二十話

僕は機械剣一本だけを手に持ちながら、難なく城を出た。

途中で何人か兵士がやってきたが蹴散らした、実に弱く、勇者に逆らうような者にはお似合いの死に方をさせてやった。


城の外に出た後、僕は一本道を歩いた。


分かれ道も行き止まりも無い、まるで自分の事を導いているような道なりだった。


「ひゅ~、神様もいい仕事するね、うん、とてもいい」


心底気分が良くなった僕は、ちらちらと辺りを見渡した。


ふつうここら辺でスライムだの虫の魔物だのが出てくるはず、そいつらを片っ端から殺して、レベルを上げていくのが基本だ。


「おっ、いたいた」


始めて見る魔物は色とりどりのスライムだった、僕は笑った、始めて倒す魔物がスライムだというのは、幼い頃から遊んでいるゲームっぽくて、うきうきした。


「んじゃ、正義の戦いしますかね」


持っていた剣に魔力を籠める、すると、あの時と同じように刀身が現れた。


「・・・・・・んあ?」


違和感を覚えた、見ると、機械件の刀身が真っ黒だった。

まるでテレビの画面のような、手を入れれば吸い込まれそうな黒色、魅力を感じるが、本能的に触れてはいけないことが分かった。


でも、僕の興奮はそれをも上回った。


「いいね、勇者である僕に相応しい色だ」


そう言って、僕は魔物にゆっくり近づいて行った。


ああ醜い、存在自体が醜い魔物が視界にいる。


何だあれは、石の上に花びらや木の実をのっけて、何かの儀式か?


「死ね」


毛虫の魔物の首を断つ、青い汚い血が僕に降り注ぐが、これは勲章として受け取っておこう。


「死ねぇ!」


さらにスライムに黒い刀身を突き刺す、踏み潰し、蹴り飛ばし、殴り潰す。

抵抗しないのはとても気持ちが良かった。


「ああ気持ち悪い、ああ、ああ気持ち悪い」


青い血まみれの自分に嫌気が刺すが、戦った証だと考えれば笑みがこぼれた。


「もっと経験値を稼ごう、まだ、まだいるはずだ」


楽しくなってきた、それが本音だった。

僕は魔物を探しては殺して、殺して、殺しまくって楽しんだ。


後にこののどかな丘が、「青い涙の血丘」と呼ばれるのは、きっとまだ先の話だった。


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