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第十二話

この世界で、竜という概念は神に等しい。


火を噴き雷を落とし風を起こし水を呼び、今も尚生きる災害の化身とされる『四災害』の子孫とされる小さな災害、それが竜だ。


当然、人間が勝てる道理はない、勇者のようなでたらめな力でもなければ。


そんな勇者出なければ倒せないような化け物が、自分の目の前にいる。


「・・・・ひぃ、ひぃ」


乾いていたはずの涙が溢れる、だがその色は赤黒く、リグレットは血の涙を流していた。


「なんでだよ、何でだよぉ!」


こちらに近づく竜に、リグレットは叫んでいた。


「おかしいだろ!何で俺がこんな目に合わなきゃいけないんだよ!ホープは何もしてない、ウィッシュさんもシルドさんもブレイバさんもだ!何でだよ!もっとお前が暴れるべき場所があるだろ⁉」


溢れ出てくるのは、自分の不幸への嘆きでも悲しみでもない。


ただただ、怒り。


何故自分の幸せを、自分に幸福を与えてくれた人たちが死ななければいけないのか、それに対する怒りだった。


「お前が嫌いだ、いや、いいや!それ以前に炎が嫌いだ、母さんを殺して僕の幸せを殺した、炎が嫌いだ!」


迫る竜に言葉は分からない、ただただ本能的に捕食を行うべく、目の前の生物に迫っているだけである。


だからリグレットの怒りも、悲しみも、分かるはずがない。


「だから、お前を殺す」


落ちていた瓦礫で、持っていた剣の鎖を、封印を破壊する。


じゃらじゃらと破壊される封印を見ながら、リグレットはその剣を見た。


構造としては魔力を刀身に変えるタイプの機械剣だった。


普段はただの剣だが、魔力を籠めると刀身が現れるタイプだ、武器売り場でたまに見かける上等な剣だという事を、リグレットは分かっていた。


だが、そんな事はどうでもよかった。


ゆっくりと、震える足に殺意を忍ばせながら、こちらに近づく竜に走った。


殺せればよかった、あの竜を、自分を二度も殺した炎を殺せるのならば、

竜はその殺意を感じ取ったのか、リグレット目がけて炎のブレスを放ってきた。


「また僕を殺すのか、なら殺してやる」


剣を真っすぐに突き出し、炎を正面から突っ切った。


普通ならば焼け死ぬだろうが、リグレットが持っているのは魔力を刀身に変える業物、そしてこの竜が放つ炎は、通常の炎ではなく高濃度の魔力の塊だ。


さてここで問題だ、もしまだ魔力を込めていないこの剣が、単純な魔力を受けた場合、どうなるか?


答えは簡単、突然現れた刀身が、竜の脳天を貫いたのだ。


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