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暗闇の中の光
『あの子を……守って……』
底なしの闇。
その空間全体に染み渡るようにして、どこか悲痛な女性の声が聞こえてくる。
チカリと、その暗闇の中にただ一つ、星のように白い光が灯る。
どうやら声は、その光から聞こえてくるらしい。
――守る……?『あの子』って……?
鼓動するように脈動しながら、光が大きく、眩くなる。
すると、その中から白い手が俺へと向かって差し出された。
ほっそりとして、それでいて優しい輪郭をした、綺麗な女性の手だ。
『自らの命を捨ててでも誰かを守ろうとする……その勇敢な魂に……』
不思議な色気のある手が眼前へと迫ってきて、俺はあるのかも解らない瞼を閉じる。
すると、ふわりと身体が持ち上げられるような感覚がして――