第七章☆マイナーすぎる
「ねえ、1980年代ってどんな時代?」
茜が尋ねた。
「深夜番組で」
「うん」
「突然ガバチョっていうのがあってて」
「うん」
「ワシもそう思う博士とか」
「……」
「乳母車の刑とか」
「……」
「笑福亭鶴瓶とか長江健次とか出てて」
「……」
「オープニングはビートルズのハードデイナイツ!」
力説する翼に、わけわかんないよーと頭を抱える茜。
「電話は固定電話で、ダイヤル式。どこの家庭にも一台あって、黒電話のあとカラフルな電話が出た」
「携帯電話は?」
「そんなもんあるか?!」
翼にとって未来はカルチャーショックだったのだ。
軽量化されたノートパソコン。パラボラアンテナ。どこの家庭にもあるエアコン。Google。AI。エトセトラ、エトセトラ。
怖くてまだ先は見ていない。
でも、「宇宙に誰でも行ける時代」は興味深い。あとの楽しみにとっておこう。
「ねー、歌番組とか歌手とかはー?」
茜が聞いても要領を得ない。
「おぢさん!!!」
「そーだよ俺はおじさんだよ、時代遅れだよ!」
なんだかんだ言いながら、翼と茜はいいコンビに育ちつつあった。
「二人にミッションだ。2050年に行ってくれ」
上司から言われて、二人は顔を見合わせた。