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第四章☆茜
「今日は学校行かないの?」
声をかけられて、茜は思わず身構える。振り向くと、制服姿の青年が立っている。
「あなたに関係ないでしょ?……それとも新手のナンパ?」
女子高校生で魅力的な茜に声をかけてくる男が尽きない。その青年もその一人に違いないと茜は思った。
「今日は、行っといた方がいいよ。学校」
「うるさいなぁ。なんでよ!?」
「明日からは行きたくても行けなくなるから」
「?!」
ナンパじゃない!変な人決定!
ちょっと考え込んで、茜は青年を試そうと考えた。
「私とデートしてくれたら考えなくもないけど?」
「嫌だ」
「!?ちょっと!!!」
「忠告はしたよ。じゃあ」
青年は立ち去ろうとした。
「待って!教えて!どうして明日からは行きたくても行けないの?」
「今日の午後9時過ぎにここいら一帯に大地震が起こる」
「なんであなたにわかるの?」
「時空パトロール隊員だから」
「なにそれ?」
イカれてるのかな?茜は鼻にシワを寄せて不機嫌そうに青年を見た。
「もう一度言う。忠告はしたよ」
「あっ、ちょっと!」
角を曲がったところで青年は消失した。
茜は狐につままれたような気分で突っ立っていた。