第三章☆時空パトロール
「……というわけで、翼。きみに時空パトロール隊員の称号を与える」
「何が、……というわけで、なんだ?」
「倫理面でも感情面でも標準に達しているし、なにより正義感が勝っている。まさにうってつけだ」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。冗談だろ?」
「いたって大真面目なんだが」
時空パトロール隊員は、自分の時空以外に常駐する際、その時空の特性を理解したうえでその世界に送り込まれる。
「西暦2020年」
「嘘?ぼく60だ」
「ニアミスした場合は影響が出ないうちに撤退すること。自分が存在しない時空にそのうち配属されるから、貴重な体験だと思うよ」
背中を2回バンバンと叩かれた。
冗談きついぜ。家帰って風呂入って寝よう。そしたら明日はいつもの続きだから。
黒いカーテンを開けて、未来博物館の展示会場にでると、静けさでひっそりしていた。外に出るドアがガッチリ閉まっていて出られない。
「どこに行くんだ?翼」
「家に帰る!」
「もう、この空間ごと移動しているからしばらく出られないよ」
「空間ごと移動?!」
窓から外を見ようとしたが、暗黒が広がるばかりだった。
翼はへなへなと座り込んで、ため息をついた。
「60歳の翼は小型機のパイロットの資格をとっているよ」
「えっ!」
言われて、初めて未来が見たいと思った。
「ぼくは、空を飛べるのか?」
「もちろん、時空パトロールの装置でも飛ぶことは可能だし……」
「それを早く言ってくれよ!!!」
憧れが不安に打ち勝ってしまった。
翼は時空パトロールの制服に着替えると、40年後の時空について学習することになった。