表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
失恋した俺の高校生活は、守りたい人が少し多い。  作者: 神無桂花
√結愛 信じること。信じられること。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/223

警備の準備。

 「ようこそいらっしゃいました。九重様。萩野様」

「どうも。渋谷さん」


 終業式の日の放課後。下見に来た。志保の家に。

 志保は本宅にはいないから、堂々と歩ける。だが、今日の夜帰ってくるらしいからあまり長居もできない。

 パーティー会場は、朝倉邸のパーティーホール。……パーティーホールがある家か。

 そして、自分の知り合いの家に、邸と付ける日が来るとは。

 さて、実際問題、難しい警備ではない。

 そもそも、朝倉邸に侵入することが困難である。

 正直、結愛の全力サポートがあれば入れる。が、正直嫌だ。

 例えば、正面から入るとすると、スマホの専用のアプリ、あるいは専用のカードが必要になる。それだけなら、結愛に頼めばどうにかしてくれそうだが、さらにそれにプラスして指紋認証が必要だ。

 内側から開けるとしても、指紋認証が必要になる。

 それならば、家の周りだ。なのだが。

 まず、高い塀だけでも十分脅威である。俺なら越えられるが。


「登ってみても?」

「構いません」


 ジャンプ一つ。さらに、壁に足を突き、身体を押し上げ上への推進力を追加。片手を塀の一番上にかけ、一気に引っ張り上げる。


「まぁ、こんなところでしょうか」

「見事です」


 渋谷さんがパチパチと手を鳴らす。

 だが、これを越えられても。庭には監視カメラ。見えるものから、芝生の中などに巧妙に隠されたもの。

 結愛がいちいち無効化していたら、何時間あっても屋敷にはたどり着けない。ある程度下調べして、映らない死角を通るしか無い。

 そこから、建物にたどり着けさえすれば、警備システムを一時的に無効化して開けることは可能だ。


「……結局は結愛頼りになるな。俺が侵入するとしたら。結愛は偉大だな」

「さらっとカメラの死角に回り込み続ける身のこなしが可能だと言っている先輩も凄いですよ」

「如何でしょう」


 渋谷さんの静かな声。そう、今回の俺達の下見は、朝倉邸に侵入することは可能か否かということだ。


「侵入すること自体は可能です。が、難しいです」


 ここまで徹底されると逆に引く。

 恐らくだが、何かしらの機密情報。例えば、あの惚れ薬のレシピとかが、あるのかもしれない。はっきりとしたことは知らされていないが。


「訓練された身のこなしと、優秀なハッカーがいれば、といったところです」

「ふむ。なるほど。お二人が敵では無いことに、心から感謝を」


 味方、とは言わないんだな。なんて、余計なツッコミはしない。 

 目的は同じである。そのことが、今は重要なのだ。

 屋敷の中は、思ったほど派手では無いが、十分豪華である。

 中は、そこまで警備体制が厳重というわけではなさそうだ。入り口に監視カメラと赤外線センサーが確認できた程度だ。


「社長さんの仕事部屋、後、書斎がかなり厳重に警備されている程度です。入り口はロックが掛かっていて、赤外線や社長本人のID以外で入った場合に起動する監視カメラは確認できました」


 結愛が耳元でこっそりと教えてくれる。


「……なるほど」


 守りたいところを要所で固めただけか。まぁ、普通ならそれで十分だし、そもそもここまで来るのが結構困難だ。

 一か所をガチガチに固めるというのは、そこに重要なものがありますよ、と言っているようなものでもあるけど。

 パーティー会場への入り方は二パターン。

 正門から入って、庭を通って専用の入り口から入るパターン。招待客はこちらから入る。

 もう一つは、朝倉邸本館から入るパターン。こちらは当日、スタッフが料理とかを運ぶために使う通路になる。


「下見はこんなもんか」

「ですね。私としても十分です」


 そんなわけで、渋谷さんに見送られ門を出る。次は本部だ。




 特務分室。正直、班目さんが抜けた穴は大きい。未だに謹慎中だ。

 柿本さんがいるとはいえ、やはり勘の鋭い班目さんがいたからこそ、コンビで色んな案件を高速で解決していけた。

 人手不足が目立つ部署だったが、今、結構カツカツだ。


「柿本さんがいるって珍しいですね」


 結愛がそう言うってことは相当だろう。

 ブラックだなぁ、この職場。改めて考えると。


「報告に来ただけだ。だが、そうだな、聞いて行こう」


 テーブルに広げた朝倉邸の地図を一瞥して、柿本さんは呟く。


「まぁでも。これくらいしっかりしているなら、二人と朝倉邸のスタッフだけで充分だと思うけどね」


 室長の意見はその通りだし、特務分室のこの惨状を見てしまうと、俺達だけでやると言いたくなる。

 ここでは温存して、正月旅行とやらで、少し回してくれるとありがたい。

 そう。俺はクリスマスパーティーに関してはそこまで警戒していない。

 危険を冒してまで朝倉邸を襲うメリットが無い。

 敵の目的の品があるかもわからないというのに。俺ならまず、本社を調べる。


「某なら、朝倉邸を襲うとすれば徒党を組んで武器を持ち、強盗という形を取る」

「まぁ、そうなりますよね」


 武器を持って正面から行けば警備システムも何もあったもんじゃない。

 確実だが悪手。

 そんな手段。


「柿本さんのように、目的を果たした後の追跡を振り切る自信があるなら、ですけど。でなければただの愚策です」

「そうだな。班目がいれば、某も隠密を選択するところだ。班目なら、この程度、簡単に突破して見せるだろう。セキュリティを妨害して、退路を確保するだけで済む」


 柿本さんの中で、今でも班目さんは、ちゃんと相棒だ。

 その声には、強い信頼が感じられた。



 明日は休み。朝倉家のクリスマスパーティーの警備をすると話したら、奏が「明日パーティーしよっか」と言ってくれた。

 結愛も志保も来る。

 結構、楽しみにしてる自分がいる。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ