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私の彼氏はVTuber。ただし中の人はいない。【連載版】  作者: 陽乃優一
最終章「せっせとサイリウム振りなさいよ。せっかくのライブなんだから!」
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#28

 そうして、追跡を振り切るというかごまかすようにしてメキシコ湾に到着した私たちは、軍艦に乗り込んで出港した。ヒューム本拠地『アイランド』に向けて。


「空母より、小さい……」

「本格的な研究設備は必要ないし、フェザーズ機体もお前たち4人の分と予備機だけだ。むしろ、陸戦部隊をたくさん乗せる必要があったからな」

「ヒューム構成員はどれくらい紛れ込んでるかなー? わくわく」

「カスミ、ほんっとお前は婆ちゃんにそっくりだな……」

「そうですかー?」


 『アイランド』は文字通り海上の拠点であり、ヒューム支配圏としての境界線もまた海上にある。こう言ってはなんだが、『ハルト』によって制圧を半減された時点で、もっと東の方、ヨーロッパやアフリカに本拠地を移転すればよかったのにとも思うのだが。陸上なら御自慢のフェザーズ部隊で守りを固めやすいし。まあ、もともと想定されていなかった事態だし、簡単にはいかない事情があるのだろう。ヒューム総帥の『正体』がハルトのシミュレーション結果の通りなら、なおさらである。


「え、ってことは、俺たちがヒューム本拠地に向かってることは、敵さんに筒抜けなのか!?」

「メキシコに上陸した時点でそうでしょうねえ。私たちに直接的な妨害工作をするのは間に合わなかったけど」

「じゃあ、ヒューム構成員はとりあえずこの軍艦に乗り込んでるってだけ? 指示待ち?」

「そうだけど、妨害電波出してるからね。各自判断で動くしかないから、統率のとれた行動には出ないと思うよー」

「なるほど……。あれ、それじゃあ、ハルトも『アイランド』では出番なし?」

「そうだね。ヒューム側は『ハルト』を最も警戒しているから、むしろ都合がいいんじゃないかなー」

「まさか『ハルト』以上の脅威が存在して、直接乗り込んでくるとは思わねーからな!」

「成瀬くん、言い方」


 まるで私が世界の支配者として君臨しようとしてるみたいじゃないのよ! まあ、でも、もしヒューム侵攻時に『ハルト』経由の阻止が間に合わなくて制圧が成功していたら、正体を隠しつつも、いつかは『アイランド』に単独で乗り込んでいたかもしれないねえ。そして、ヒューム総帥に成り代わって『ハルト』が人類統合の象徴となるのだ!


「御子神さんが悪い顔をしているよ」

「霞……」

「おいおい、ヒューム以上にやっかいな脅威じゃねえかよ」

「そ、そうよね、ヒュームが解体されたら、御子神さんが素性を隠す理由がなくなるし……」

「既に、フェザーズの見事な操縦者としても有名になってるからな。空母上の戦闘シーンがGNNで放送されちまってるし」

「ウチらは御子神さんを、人類史上最強の英雄として報道し続けるっすよ!」


 えー、それはやだなあ。普通にバスケも続けたいし、目立つなら『ハルト』で! そこんとこよろしく。

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