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私の彼氏はVTuber。ただし中の人はいない。【連載版】  作者: 陽乃優一
最終章「せっせとサイリウム振りなさいよ。せっかくのライブなんだから!」
30/36

#27

ここから最終章です。本日中に全7話を1時間単位で投稿します。

 私たち一行は(ある意味)予定通り、空母からメキシコに上陸し、メキシコ湾沿いの軍港に停泊中の軍艦に乗り込むため、陸路を移動していた。


「タコスうめえ! もぐもぐ」

「ホントねー。やっぱり本場は違うわー」

「えっと、もうちょっと静かにした方が……」

「いや、堂々としていた方がむしろバレねえ。御子神のすっとぼけぶりから学んだ」

「なんかハラ立つけど、実際その通りね。ほら、周囲の現地の人たちの目が生暖かいわ」

「お上りさん的な外国人観光客ってところなのかな。僕らが住む街でもよく見るよね」

「あそこは海産物がウリだからねー」

「オー、サシミ、ドンブーリ」

「だから、そんな言い方しないっつーの」


 陸路自体は現地の車で一日もかからないのだが、たまにこうして店とかに入ってプチ観光を楽しませてもらっている。主に成瀬くんの希望で。とはいえ、絶妙なカムフラージュになっているのも確かだ。


「真那はサンドイッチだけでいいんすか?」

「あなた達が極小カメラで撮影するのを止めたら私も観光を楽しみたいのだけれども」

「そうはいかないっす。過程をつぶさに捉えてこそのドキュメンタリーっす。オフラインなのが残念なくらいっす」

「それなら、『アイランド』で思う存分中継しなさい。手配は進めているから」

「お願いするっす。なにしろウチらは『行方不明』ってことになってるっすから」


 私たち高校生組とミーアさんはタコスを頬張っているが、森坂さんと武藤さん達GNNクルーはそばに控えているような格好だ。私たちの引率者っ感じ? 森坂せんせー。


「あ、GNNが私たちのこと報道してるよ?」

「おおっ、店のTVに俺たちの名前が! ……ほとんどカリブ海のことばっかだけど」

「そりゃあ、かなりの敵フェザーズを予定通り一網打尽にできたからねえ」

「僕たちはGNNクルーごと行方不明、極秘作戦なのか、敵に捕まったのかもわからない……と」

「おー、ウチのキース支局長もここぞとばかりに会見してるっすねー。さすが『総本部長』、慣れてるっす」

「ヒューム支配圏から亡命してきたんですよね? そのまま留まっていたら……」

「ヒューム上層部の広報官あたりに強制抜擢っすね。まー、それが嫌で日本に逃げてきたっすが」


 ということで、GNN東京支局長のキースさんは、実は世界中のGNN支局をとりまとめる人でもあり、東京は暫定のGNN総本部ともなっていた。今回のGNNクルー同行を含めた『特務プラン』を極秘に進めるにはこのことがむしろ障害になっていて、それゆえに、武藤さん達をいろんな形で騙し続ける必要があった。実際、あの侵攻時に動いたGNN内部のヒューム構成員がまだ密かに残っていて、今回スパイとして紛れ込んでいたくらいだし。ヒュームの実態を暴露するには、ヒューム支配圏でもおなじみのGNN報道網を利用したいが、それゆえにAHC管轄圏でもヒューム側の影響が少なからずある。難しいところだ。


「とはいえ、ここが踏ん張りどころっす。ウチらは最後まで『役割』を果たしてみせるっす」

「お願いしますねー。ヒューム解体の暁には、武藤さんがGNN東京支局長に大抜擢されるかも!」

「えー、そーっすか? いやあ、あははは」

「武藤さーん、御子神のことまだよくわかってないみたいだから言うけど、こいつGNN網を使って『ハルト』を世界デビューさせたいだけだからなー」

「バレたかー」

「うえっ!?」


 いや、むしろ当たり前でしょ? 武藤さん、よろしく!


「ほら、そろそろ行くわよ。明日には『向こうの船』に乗り込まないといけないんだから」

「はーい、せんせー」

「誰が先生よ!」

「修学旅行みたいだねえ……」

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