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私の彼氏はVTuber。ただし中の人はいない。【連載版】  作者: 陽乃優一
第三章「そうですねえ……『嘘から出た真』、ですかねえ」
18/36

#16

 そして、更に数日後の早朝。


「御子神さん! 今日こそ『ハルト』の中の人との関係を教えてくださいっす!」

「……それよりも、武藤さんに聞きたいことがあるんですけど」

「なんですか? 答えたらハルトさんを紹介してくれますか!」

「しませんよ。あなたの所属するGNNって、ヒューム侵攻時にTV演説を担ったTVニュースネットワーク会社のひとつですよね?」

「あちゃー、それを聞かれると弱いっす。私は関係ないっすけどね、当時の報道局の技術担当がヒューム構成員の『同調者』で……」

「それは知ってますよ。……武藤さん、GNNの汚名返上、したくないですか?」

「……ほえ?」



 私は森坂さんと一緒に、GNN、グローバル・ニュース・ネットワークの東京支局を訪ねた。具体的には、そこの支局長、キース・フォルティス氏への面会である。


「初めまして、森坂といいます。現在はAHC軍の研究開発基地のとりまとめをしています」

「御子神です。よろしくお願いします!」

「成瀬です!」

「田町……です」

「井上です」

「君たちの話は聞いているよ。なんでも、公海上を進む空母上で『フェザーズ』の解析を集中的に行うんだって?」

「はい。以前、基地で解析を進めていた時に、ヒューム側のスパイに強襲されてしまいまして、その反省を踏まえたものです」

 

 それはもちろん『特務プラン』のカムフラージュなのだが、それをここで言うはずもない。ちなみに、他の3人にも言っていない。なお、例によって『私も聞いていない』ことになっている。あのプランはハルト経由でAHC委員長に送りつけたものだが、そのプランがハルト経由であることをAHC上層部は森坂さんに伝えていないからだ。逆に言えば、AHC上層部は私がハルトからプランの全貌を聞き出していると想定しているはずである。それが、実は『プラン』の要でもあったりするのだが。


「それで、AHCとしては、ヒュームの脅威を排除するだけの技術を蓄積していることをアピールしたいのですが、同時に、この子たちの身の安全も確保したいのです」

「なるほど、それで我が社のTVネットワーク番組でPRすることで、世間の目を盾にしたいと。君たちはいいのかね? 世界中……正確には、世界の半分だがね、その存在が広く知られることになるが」

「承知しています。両親とも話し合いました」

「僕も、そうですね」

「私はちょっと嫌だけど、スパイの人たちに怯えなくて済みそうだから……」

「田町が行くなら俺も!」


 いや、成瀬くんはみこちんよりもフェザーズ操縦がしたいだけでしょ? 前の時はへっぽこだったけど。


「わかった。AHCとこの子たちの申し出を受け入れよう。我々も名誉挽回したいし、ネットワーク全体の総力を上げて支援することにするよ」

「ありがとうございます。他の国家・地域の支局への依頼はお任せしてよろしいでしょうか?」

「もちろんだよ。断る者はいないだろうさ」

「あと、空母に乗り込む技術スタッフの人選はお任せいたしますが、レポーターは、可能でしたら、ここの芸能部門の武藤にお願いしたいのですが」

「ああ、森坂少佐の友人だそうだね。既にそのつもりではしゃいでいるよ」


 うん、予定通りに乗ってくれたね。よしよし。


「おっしゃー、世界デビューだ! 日本だけの『ハルト』とは規模が違うぜ!」

「うぐう」

「ダメだよ成瀬くん、遊びじゃないんだから……」

「でもよう、ハルトの中の人って、広告収入が物凄いんだろ? 俺たちの方が期待できるんじゃね?」

「もちろん、当局からも出演料をお支払いしますよ」

「うおおおおおお!」


 結局、お金かあ。まあ、そうだよね。


 ちなみに、ハルトのVTuber収入が物凄いといっても、それはあくまで維持費用を余裕で捻出できるというだけだ。しかも、当初からの黒歴史隠蔽のため、私の銀行口座に直接振り込まれるとか、そういったことはない。いわゆるポイント制度を利用してサービス使用料とかをそれで賄っているだけである。つまり、『結晶体』を組み込んで利用するためのモーションキャプチャーやらの周辺機器は、私の本来のお小遣いを費やして店頭購入しているのである! 普段は押入れに隠しているのがもったいないのだが!


 と、こんな感じで、次の私たちの長期休業を利用した『特務プラン』が発動したのである。さくさくと進めばいいなあ……。

この回で第三章終了です。『設定まとめ』ののち第四章となりますが、更新時期は未定です。なお、内容進捗からおわかりのように、割と早くに完結する見込みです。

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