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私の彼氏はVTuber。ただし中の人はいない。【連載版】  作者: 陽乃優一
第三章「そうですねえ……『嘘から出た真』、ですかねえ」
15/36

#13

 朝練のために朝早く学校に向かおうとした私は、自宅の玄関前で待ち構えていた『招かれざる客』に顔を(しか)めた。


「御子神 霞さんですね? 『グローバル・ニュース・ネットワーク』東京支局の、武藤(むとう)輝夜(かぐや)って言います! あ、横でTVカメラ構えてる人は気にしなくていいっす」

「はあ」


 いや、気になるよ?


「あのう、『同調者』とやらの件では何もお話できないのですが」

「いえいえ、『ハルト』ファンの第一人者としてのお話が聞きたいっす!」


 ビクッ


「おやおやあ? 何か心当たりがあるみたいっすねー?」

「な、ナンノコトデショウ?」

「ふふふ……。スバリ! あなたは『ハルト』の中の人を知ってますね!」

「……」


 その通りである。その通りではあるのだが……。


「それは、ファンとして、ってことですか?」

「違うっす! 個人的に『お付き合い』してるんじゃないかってことです!」

「……どなたに聞いたんですか、それ」

「情報ソースは明かせないっす!」


 えーと、つまりこの人……武藤さんだっけ、確かにハルトに関する取材なんだけど……『ヒューム撃退』については知らない? GNN(・・・)なのに?


「失礼ですが……GNNのどの部門のかたですか?」

「芸能部門っす!」


 さいですか。



 その日のお昼休み。いつものようにスマホで『VTuber・ハルト』の歌って踊ってお喋りするライブ中継を教室で見ながら、クラスメイトたちに朝の出来事をチクる。


「確かに、有名VTuberとしてなら、芸能部門で話題にするよね」

「そうだけど……なーんか、恣意的なものを感じるのよねえ」

「うおっ、御子神が『しいてき』とか難しい言葉を使ってる!」

「成瀬くん、私をバカにしてる? してるよね? してるに違いない!」

「じゃあ御子神、『しいてき』ってどういう意味だ?」

「好き勝手やってるってことでしょ。今回の取材の場合はねー、誰かが私をハメるために嘘の情報を流したってこと!」

「御子神さんにそんなことをする人がいるなんて……」


 ああいや、たぶん大丈夫だよ、井上くん。ハメるといっても、私に変な注目が集まらないようにするための『話題反らし』だと思うから。


「それで、結局その取材の人には、なんて答えたの?」

「そりゃあもちろん、『ハルトとお付き合いしていると思われてるなんて嬉しい!』って返したわよ。本当のことだし!」

「いやお前、『中の人』とって話だろうがよ」

「いつもの霞だねえ」


 そうそう、いつもの私だよ。ハルトの熱狂的なファンってだけの、ちょっとスポーツ好きな普通の女子高生ってだけだから!



『そういうのを「どの口が」って言うんだっけ?』

「そうだけど、それはハルトのキャラじゃないから喋っちゃダメ!」

『わかってるよ。それで、念のため、そのムトウ・カグヤって人を調べておけばいいんだね?』

「うん、よろしく。私は私で締め上げて(・・・・)おくから」

『やり過ぎて「中の人」が出ないようにね。それじゃ』


 ピッ


 さて、次はっと。


 ピッ、ピッ、ピッ

 ……トゥルルルルルルルル


 ぴぽっ


『御子神さん? どうしたの?』

「あ、森坂さん。ちょーっとこっちに来てもらえませんか? ええ、駅前の喫茶店のパフェおごり付きで」

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