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15、部活動

15


自分が何もできないのは自覚してた。そんなの十分わかってる。だからお母さんは寮暮らしを反対してた。


だからと言って何もかも諦めるほどプライドが高いわけでもないし、現実から逃げるほど腐ってるわけでもない。


だから私は、私のペースでいい。焦ってどうなるわけでもないし、今は勉強と部活と委員会で精一杯。


まずは自分にできる事をできるだけやろう。


できる事を……できる事を…………


無理!!


「もうムリです!!」


放課後、体育館でバドミントン部の活動が始まった。その練習は……まず走り込み、筋トレ。それは当然ついていけない。そりゃ、いきなり男子と同じ量はこなせないよ!


「新川、このくらい稲高の運動部としては軽い方だぞ?」


軽い?男子部員ですら軽くはやって無い様に思える。私を男だと思っている早乙女部長に、男女の差を考慮する頭は微塵もありはしない。


他の部員よりかなり遅れて、何とか基礎トレを終えた。それから、いよいよラケットを持っての練習。さっそく誰かとラリーの練習!と、思ったのに、私の相手は何故か生徒会長。


無理!!この人とラリーはできない!!


「どうした?早く始めろ」

「いや、その……」


生徒会長はラケットを持ってコートに立っていた。


いや、無理!!今度も絶対にラリーにはならない。


私が躊躇していると体育倉庫から赤い髪の先輩が出て来てた。すると、私の手からラケットを奪って行き、私の入るべきコートに入った。そのラケットを生徒会長の方へ高々と突き出すと言った。


「虫ケラ野郎勝負だ!!」

「またお前か!今度も潰す!」


突然また二人の死合が始まってしまった。それは正にただの打ち合い。いや、バドミントンってもっと緩急をつけたりして……


そうは言っても、この人達にもはや何を言っても無駄。気が済むまで、もしくはラケットが折れるまでやればいい。


私は隣のコートを借りて、別の先輩に一緒に相手をしてもらう事にした。


「先輩、練習相手お願いします」

「あ~いいよ~!」


私と先輩は、生徒会長と赤い髪の先輩を横目に練習を始めた。


「最初は軽くラリーやろう!」


先輩の打つ球は、生徒会長のような力任せの豪速球ではなく、私があちこち変な方向へ打っても必ず当てやすい位置に返してくれる。それって凄い事じゃない?私は全然思った方向へシャトルを飛ばせない。


それでも、先輩のおかげでラリーがしばらく続いた。何度かやると、どんどん続いて楽しい!!


「あ!すみません!」


私がミスしても、先輩は「ドンマイ!」と言って励ましてくれる。なんて素敵!!これが私の思い描いていた楽しい部活動!!


「初めてにしては上出来だよ」

「あはははは!お世辞ですか?ありがとうございます!」


先輩と和気あいあいと練習していると、突然目の前のネットにシャトルがつき刺さった。


え…………?


「悪ぃ~手が滑った。ダブルスやろうぜ~!」

「何でですか!?どうしてこっちに来るんですか?」


隣のコートから赤い髪の先輩がやってきた。


この人はどうして私の楽しい部活動を阻害しようとするの?真面目にもうこれ以上関わらないで欲しい。


「じゃあ……ダブルスは私やった事無いので、他の先輩と代わりますね?」

「待て待て待て!俺もやった事なんかねーよ。でもやった事無い者同士息が合うかもしれねーだろ?」


そんな無茶苦茶な!!生徒会長が先輩のいるコートに来て、本当にダブルスの試合が始まってしまった。


「新川、悪いが今度は手加減しないから」

「えぇええええ~!本当にやるんですか?」

「こっちも命がかかってるからな」


命がかかってるなんて、そんな大袈裟な!先輩、生徒会長がトラウマで恐れ過ぎ!


それから試合は……当然というか、必然と言うか、経験者の先輩に加えて生徒会長の豪速球。一方こちらは、未経験者のポンコツと力任せのノーコン赤髪。


勝てる気がしない!!


特に、私がネット際にねじ込まれる先輩の巧みなドロップショットに全く対応できない。後ろの赤髪はノーコンで、打ち返してもすぐアウトになる。


別に自分が下手くそな事は自覚してる。だけど、赤い髪の先輩の心無い言葉が、少しずつ私のやる気を削ぎ落としていった。


「取れよ!ヘタクソ!」


そんな、自分はアウトばっかりのクセに!


「ここで空振り!?マジか!!」


あんな豪速球返せるわけ無い。


「おい、真面目にやれ!」


真面目やってる!ふざけてるのはどっち?


私はラケットを落としてしまった。カラン……と、妙にその音が体育館に響いた。我慢の限界が来た私は、ラケットをそのままに体育館を出ようとした。


「どこへ行く新川?試合はまだ終わってないぞ?それに、お前は1年だ。掃除と片付けを終えてから帰れ」


またもや早乙女部長に引き止められた。


「はい……」


ここは我慢だ。楽しいだけが部活動じゃない。それもわかってる。嫌な事だって多少は飲み込んでやらなきゃいけない。


そのために殲滅委員会にまでなったんだから……


私はラケットを拾って、コートに戻った。せめてチームメイトが赤い髪の先輩じゃなくて、生徒会長だったら良かったのに。


生徒会長だったら、こんなに心無い言葉なんか言わない。いや?普通に同じ様な事を言うかもしれない。


だけど生徒会長なら……


言われても納得が行く?気にならない?


それはどうして?



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