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27話:テロと欧州難民問題、巨大企業の不正

 やがて2015年となった。初詣に、伊勢山皇大神宮に出かけ、家内安全、家族の健康、満貫成就をお願いしてきた。2015年、世界では、世界各地でイスラム過激派テロが起きた。年初、過激派組織「イスラム国」は1月、シリアで行方不明になった湯川遥菜さんとフリージャーナリストの後藤健二さんを人質に取り、殺害した。イスラム国はそれまで欧米人を殺害した動画を公開したが邦人が犠牲になった事件は初めて。

 

 イスラム国は、安倍晋三首相がイスラム国対策として2億ドルの人道支援を表明した後、2人の殺害を警告するビデオ映像を公開。72時間以内に同額の身代金を支払うよう要求した。期限切れ後、イスラム国は湯川さんを殺害したとする画像をネットに投稿し、要求を身代金からヨルダンで収監中のイラク人女死刑囚の釈放に切り替えた。日本政府はヨルダンなどに協力を求め、人質解放に努めたが、その後、後藤さんを殺害したとする動画が公開された。


 シリアを中心に中東やアフリカの紛争や迫害を逃れ、欧州を目指す難民が急増した。粗末な船などに乗った難民が連日大量に押し寄せ、国境にフェンスを設けて流入を抑える国も。9月にトルコの海岸に打ち上げられた3歳男児の遺体写真が報じられると、世界的に受け入れの動きが広がり、欧州最大の受け入れ国ドイツのメルケル首相はノーベル平和賞候補になった。


 欧州連合「EU」は加盟国全体で16万人を分担して受け入れることを決めたが、既に100万人以上が欧州入りし、対策は追い付いていない。11月のパリ同時テロでは、一部の容疑者が難民に紛れて欧州入りしたことが判明し、テロリスト流入対策の不備が顕在化した。欧州各国は国境審査を相次いで強化しており、欧州統合の柱である「域内移動の自由」も揺らいでいる。


2015年1から11月の訪日外国人数は、日本政府観光局の推計で前年同期比47.5%増の1796万4400人に達した。円安に加え、日本発着の国際航空路線の拡充、査証「ビザ」発給要件緩和などを背景に、過去最高だった14年の年間実績「1341万人」を既に上回った。15年年間では1900万人台に達する見込み。外国からの訪日観光客が急増した。


 そして日本を訪れた時、炊飯器やカメラ、薬、化粧品といった家電やブランド品などを大量に購入する「爆買い」も注目を集め、今年の流行語大賞にも選ばれた。日本百貨店協会によると、外国人観光客向けの免税売上高「1から10月」は前年同期と比べ、約3.1倍の1609億9600万円。ただ、中国を含む新興国経済の減速に伴い、爆買いの勢いが鈍る可能性も指摘されている。


 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン「VW」が排ガス検査をすり抜けるため、検査時のみ窒素酸化物「NOx」の排出量を少なくする不正なソフトウエアを一部ディーゼル車に搭載していたことが、米環境保護局「EPA」の調査で9月に発覚した。問題車両は世界で最大1100万台に達する。当時のウィンターコルン会長は引責辞任に追い込まれ、後任にVW傘下のポルシェ社長だったミュラー氏が就任した。


 VWへの非難の声が噴出し、震源地の米国をはじめ各国で賠償請求訴訟などが相次ぐ一方、独検察当局は本社の家宅捜索に着手、刑事責任追及の動きも進む。リコール(回収・無償修理)対策費の損失に加え、ブランド価値の失墜から販売面にも影響が出始め、VWの経営を揺るがす事態に発展した。


 東芝不正会計で歴代社長辞任、日本を代表する電機メーカー、東芝で利益を意図的にかさ上げする不正会計が発覚した。社外の弁護士らで構成する第三者委員会は7月、経営陣が関与し、パソコンやテレビなど幅広い事業で不正な会計処理が組織的に行われたと認定。田中久雄氏ら歴代社長3人が引責辞任する事態に発展した。利益かさ上げ額は過去約7年間で累計2248億円に上った。


 証券取引等監視委員会は12月、有価証券報告書に虚偽記載があったとして、過去最高額となる約73億円の課徴金を科すよう金融庁に勧告。個人株主は、株価下落で損害を受けたとして同社や旧経営陣に賠償を求める訴訟を相次ぎ起こしているほか、同社自身も旧経営陣を提訴。東芝は不正会計の一因となったパソコンなど不採算事業の見直しや人員削減に迫られている。

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