25話:2014年の高温と集中豪雨
やがて2014年1月31、横浜中華街では中国の正月、春節「旧正月」になる。その日、中国獅子舞が、中華街を練り歩き、多くの人でにぎわった。この年は、暖冬の多かった、近年とは異なり千葉市で観測史上最高の積雪33センチを記録、また東京都千代田区大手町でも戦後4位の積雪27センチ「約半世紀ぶりの記録」を記録するなど、関東・甲信地方を中心として記録的大雪となった。
1月9日には仙台市でも積雪35センチと観測史上3位の積雪量を記録。埼玉県、長野県、石川県で計5人が死亡、関東中心に628人がけが、交通機関等に大きな影響が出た。更に、2月15日にかけて関東・甲信地方を中心とした各地で再び大雪。山梨県甲府市で過去最大となる積雪114センチを記録した他、山梨県富士河口湖町、埼玉県秩父市、熊谷市、群馬県前橋市などで観測史上最大の積雪を記録。
東京電力管内で約24万6800世帯が停電、2月17日にかけて各交通機関に影響「平成26年豪雪」。その後4月を迎え、長女、百合は、中学2年生となった。この年も勉強に力を入れていた。5月の連休を過ぎ、6月になるとバラのシーズンが始まり山下公園、海の見える丘公園のバラ園に、白、赤、ピンク、黄色のバラが咲き誇った。そのバラの匂いが良く、横浜に来る観光客が増えた。
そして7月なり、やがて梅雨が明けて、暑い夏となった。学校な夏休みになり、百合は、エアコンの効いた部屋で高校受験の勉強を続けた。北関東の館林で最高気温が35度異常の猛暑日が23日、群馬県館林、埼玉県熊谷、山梨県勝沼、栃木県佐野と北関東で多かった。8月20日には、広島市安佐南区と安佐北区で集中豪雨となった。8月19日夜から20日明け方にかけて豪雨となった。
特に広島市安佐南区八木・緑井・山本および安佐北区可部を中心としたごく狭い範囲に集中豪雨が発生した。「数百年に1回程度よりはるかに少ない確率」で発生した記録的集中豪雨だった。線状降水帯が発生し、3時間降水量は200ミリを超え、同時多発的に大規模な土石流が発生した。広島市災害対策本部のまとめでは、土砂災害166か所「うち土石流107か所、がけ崩れ59か所」が発生した。
記録的集中豪雨が、午前1時半から午前4時の真っ暗で対応の難しい時間帯に、新興住宅地など人家が密集する住宅地後背の山々を襲った。以上の3つの悪条件が重なったことで甚大な被害を出した「都市型土砂災害」である。この土砂災害はそれ以前のものと一線を画し、単に砂防だけの問題でなく都市計画・地域計画・防災計画のさまざまな問題点が浮かび上がった。
行方不明者の捜索は約1か月間におよび、災害における直接死は77人となった。この災害死の数は、国土交通省の発表によると土砂災害による人的被害としては過去30年間の日本で最多であり、1983年7月に島根県西部で87人が死亡・行方不明となった豪雨「昭和58年7月豪雨」による土砂災害以来の大きな人的被害となった。広島市に限れば、1999年の6月29日の豪雨災害における土砂災害被害を上回った。




