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終末に架かる陽光  作者: べすらいむ
9/12

魔の森8


(…けて、助けてッッ!!)

意識が覚醒する。幾許か寝ていたようだ。しかし精霊サフラからの切羽詰まったSOSは確かに届いていた。

「サフラ!?」

バッと周囲を見渡す。先程まで激しい死闘(配慮はしていたが色々と燃やしたり)を繰り広げていた筈だが、その痕跡は無い。

森自体が動いたかのような…それでいて生い茂っていた木々が弱っているように見える。恐らくサフラが何者かと争ったのだろう。しかし圧倒的な強さを誇る彼女が助けを求める…?そんな事があるのだろうか、仮にピンチな状態だったとして俺がそいつに勝てる筈がない。ここは残念だが見捨てる方が賢明だろう…


等と思案していると可愛らしい小さな女の子が地面からスっと姿を現し

「サフラ様を、この地の守護神をお助け下さい…!」

とヨウの目の前で頭を垂れる。よく見るとサフラが小さくなったような姿をしている。コウが小さくなった時と同じなのか…?

「君は、サフラではないのか?とてもよく似ているが、姉妹とかか?」

と疑問を口にすると女の子はブンブンと顔を振りながら答える。

「い、いえ滅相もない。我ら幼精霊はその地を治める大精霊様に仕える存在。元々この森にはたくさんの微精霊が居りました。サフラ様はそんな形を持たぬ微精霊(われわれ)を形ある幼精霊に進化させてくださいました。」

(微精霊に幼精霊…精霊にも種類、と言うより成長段階のようなものがあるのか…?)

「我らはサフラ様に忠誠を誓いました。如何なる時もお力になると…しかしサフラ様は今、ヒトの手に堕ちました。最後にサフラ様が念じた想いは…撤退、救援、援護の3つでした。そして貴方様がこの危機を救ってくださると…!」

言い終わると幼精霊はヨウを涙目で見上げるように懇願した。まだ幼い女の子の見た目で上目遣い…些か断りづらい。

「すまないが俺達には他に目的が…」

断りを入れると、言い終わる前に泣き出してしまった。

「お願いします、私に出来ることなら何だって協力します!我々だけではあのニンゲン、勇者と呼ばれる相手に太刀打ち出来ません…」

『勇者』というワードを聞いた瞬間、内に眠る焔が燃え上がる。今まで閉口していたコウから激しい反応が上がる。

(ヨウ、そいつは殺しましょう。生かしておけないわ。)

(コウ…?)

目を覚ました安堵よりも有無を言わさぬ気迫を感じそれ以降の言葉が出てこなかった。

分離(セパレーション)

コウが小さく唱えると同調(ユニゾン)が解除され、コウが目の前に現れた。幼児ではなくなっていたが、最初にあった頃よりも些か小さい印象を受ける。恐らく完全には回復していないのだろう。

「さあそこの使い魔、勇者の元まで案内しなさい。私がそいつを殺してサフラも助けてあげるわ。」

コウの眼にはドス黒い憎悪の焔が揺らいでいた。



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