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終末に架かる陽光  作者: べすらいむ
7/12

魔の森6


杖を見ると未だに小さな火花が飛び散っていた。

多分これを当てる必要があるんだろう。しかし巨体とは言え先程感じた威圧感、圧倒的プレッシャー、一筋縄では行かないだろう。息も切れ切れになりながら思案する。どうする…どうするッ…!?


「ハハッ良いじゃねぇの!ちゃんと理解(わか)ってるようだな。なぁに、己との力量差を感じて逃げるのは早々出来ることじゃねぇ。とは言っても逃がしはせんがなぁ!!ふっ…!」


言い終わるが否や巨大な戦斧がヨウ目掛けて肉薄してくる。咄嗟に大地を蹴る。

ー激痛ー 左足から鮮血が燃え上がる。

「……ッッ」

痛みで声が出ない。意識が揺らめく。揺らめいた刹那の脳裏に過ぎるは先程イメージした揺らめく陽炎の焔。

…大丈夫、まだ動ける。戦える!勝てる!!

「残念だったなボウズ、いい線行ってたよ。だがこれで終いだ。」


投げた戦斧を担ぎ上げ、男は「必殺」をヨウに振り下ろす。


「燃え上がれ、火柱ッ!」

3方向から激しい焔の槍が男を穿つ。しかし男はそれらを難なく躱して笑う。


「ハハハハハ!その技は見切ったぜ。地面に設置した炎が飛び出てくるってこった!!つまり地面から飛び出てくる瞬間の輝きがわかりやぁ…な!」

と言うや否や更に出てきた三柱の焔を綺麗に躱す。


(やはりダメか…だが想定済みだっ)

ありったけの力を込め、最後の一撃への布石を打つ。周囲の空気が燃え上がり、揺らり、揺らりと踊り出す。今までより巨大な焔の奔流が歴戦の男を包み込む。

それを受けた男は口角をニッと釣り上げると

「悪かったな、お前の事を見くびっていたようだ。お前のような諦めの悪い戦士を俺は1人しか知らねぇ…じゃあな、トドメは渾身の一撃をお見舞いしてやるよ…天へと召されな!!武技・月破斬!」

【武技・月破斬】

上段から大振りの一撃。まるで月を真っ二つに割るように武器を振り下ろす事から武技へと昇華した技だ。圧倒的な破壊力はヨウのいた周囲一体をクレーターへと変貌させる。


当然その場から動けなかったヨウは放たれた必殺を避けれない。しかし直撃したヨウはゆらり…と揺れただけで外傷は全く無かった。

「なん、だとっ!?」

自分の技を受けて避けも防ぎもせずに傷1つ付いてない現実に男は狼狽する。


「もらった…!」

樹から飛び降り上空から男に飛んでいく。攻撃の反動で咄嗟に避けれない為腕をクロスさせガードを試みるも、足りなかった。

ヨウは火花が飛び散る杖を男にぶつけるとバチンと光が弾け思わず目を瞑る…。光が収まると目の前には男が全身焼け焦げて倒れていた。耐性のある防具は所々ひしゃげており、身を守る装備としては機能していないことが窺える。


「や、やった…のか?」

息も絶え絶えになりながら、ヨウはへたり込む。

先程の一戦では「火柱」を地面から撃ち続けることで意識を下に向けさせて上から奇襲するといったシンプルな作戦であったが、相手が好戦的であった事が功を奏したらしい。

「陽炎」で幻惑させてはいたが、冷静な相手の場合はすぐに偽物であると見抜かれてしまうだろう。そんなちょっとした「運の良さ」がヨウを味方した結果だった。

「よし、後は追っ手に見つからないように、森から脱出を…」

と息をつきながら後ろの木にもたれかかると、緩んだ緊張が解けると同時にヨウの意識は暗転した。

技解説


火柱:触れた箇所から巨大な火柱を発生させる技。

実は地面からでなくても出すことは可能だが、ヨウのイメージが強く反映されている為、現在は地面からしか出せない。


陽炎:焔で蜃気楼を作り出す。周囲一体の目を誤魔化す技。実際の現象の陽炎とは違うが似たようなモノをイメージしています。

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