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3話 戸惑い
弟を殺したことにより泰衡の意志の強さが伝わった。そして、戸惑う兵士もいたが全体としては士気が上がった。
「いざ」
「「おぉ」」
泰衡の掛け声に兵士は答えた。
泰衡の冷酷な感情はカリスマ性へとなっていたのである。
その後、挙兵は衣川にも伝わっていた。
敵兵数百騎に対しこちらは十騎ほど、勝ち目は無かった。戦上手と名高い義経もこれではどうしようもない。
「あの馬鹿後継ぎめが」
義経は叫んだ。奥州藤原氏にまで裏切られた傷は深かった。
「まさか。何かの間違いでは」
「これでは、日の本中が敵ではないか。」
弁慶を含む家臣達も戸惑いを隠せない。
「そなたら逃げても良いぞ。」
力の無い声で義経は言った。
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