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1話 不安と恐怖
「秀衡殿おおぉぉぉぉ」
奥州一体に叫び声が響いた。
そして一人の武将が死んだ。義経を守れと言い残して
悲しみにくれる奥州では遺言について揉めていた鎌倉から義経を渡せと文が届いていたのだ。鎌倉を恐れ従おうとする泰衡、一方反撃派の忠衡、通衡の二つの意見に割れていた。後継ぎは泰衡であったため異例の事態になっていた。
秀衡を頼って奥州にいた義経は不安が隠せない。かつて尊敬していた兄に敵視され、信用していた秀衡は病死。窮地に立たされていた。
なぜ自分が兄に憎まれなければならないのか。なぜ朝敵と見なされているのか。
ああ、静御前は生きているだろうか。
そんなことばかり頭をよぎり胸は押し潰されそうである。
その時、知らせが入った。鎌倉から義経を差し出せと要求されている様子であると。そして思った秀衡が遺言を残してくれているが、あの後継ぎは何を仕出かすか…
義経の不安は的中した泰衡は従兵数百騎を用意していた。
そして、衣川に向け出陣を強行したのである。
最期については難しいところですがそれは気分で