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2-6

 学校の教師たちも、亜龍狩りに力を貸して欲しいということで皆出払ってしまい、この騒ぎが落ち着くまでは学校も休みとなっている。

休日はユウマと共に冒険にでるという約束をしていたが、亜龍種のせい街の外に出るには許可が必要になってしまった。

 そのため、せっかくの休みにもかかわらず、暇つぶしにと亜龍狩りで冒険者の大半が出払いがらんとしたギルド内でぼーっとしているのだが。


「……なんであなたまでここにるのですか」


 なぜか隣には自称勇者のユウマもいた。


「いや、危険だから街の外にはでるなって言われちゃってさ……」


 気まずげにそういうユウマに、あきれた目線をなげかける。


「あなたそれでも一応勇者なんでしょう? 勇者が街の住民に守られてどうするんですか?」

「俺だってそう思って戦うっていったよ! でもこんなところでもしものことがあっては! とかいって俺の面倒をみてくれてる神官の人が外に出る許可をくれなくてさ……」

「その神官は間違いなく、貴重な魔道具をダンジョンで最後までとっておいて結局使わないタイプですね」


 どうせ勇者といっても大した目的もないのだから、使える戦力は使えばいいのに。


「もしかして、この亜龍の襲撃を防ぐことが俺の役目だったんじゃ……」

「そんなしょぼい理由で勇者遣わされても。大体、亜龍は強いとはいえこの街の冒険者たちなら十分たたかえる相手ですよ」


 龍種は強力というのは冒険者にとって当たり前の話だが、亜龍種だけは例外でそれなりに戦いなれたパーティならば一体を相手取るのはそこまで難しいことではない。

まぁ今回の問題はその亜龍種が群れできているというところなのだが。


「というか、あの亜龍種の群れ、もしかしなくともあなたが召喚された時の強力な魔力の余波に引き寄せられたんじゃないんですか? いつかのヘルハウンドみたく」

「うっ、それを言われるとまた罪悪感が……。やっぱり今からでも参加してこようかな……」


 とはいえいくら勇者といえどもまだ未熟なユウマでは一人で亜龍種と戦うのは無謀だろう。

そう考えると、集団で戦いなれてないユウマを戦わせないのは正しい判断なのかもしれない。


「まぁ無理を言ってパーティを組むように迫った私がいうのもなんですが、ユウマは誰かとパーティを組もうとは思わなかったんですか?」

「うーん、俺まだ戦い方を習い始めてから日が浅いし、迷惑かけると思ってたからな。そろそろパーティも考えないといけないのかもしれないけど」

「なるほど。あ、もし誰かとパーティを組むというなら私を通してくださいね。一応今の私はユウマのパーティメンバーですから」


 相変わらずふてぶてしいなお前と睨むユウマを無視し、好物のオレンジジュースをすする。


「とはいえ、どうする? この騒ぎが落ち着くまでは俺たちは外にでれないんだろ」

「そうですねえ。外に出る許可がでるまではまだ時間がかかるでしょうから」


 とはいえこのまま街の中にひきこもってじっとしているのも性に合わない。

どうしようかと考えていると、急に街中を異変を告げる鐘がなりひびいた。

なにやらギルドの職員も慌ただしくしており、何かが起こったのは間違いないようだ。


「なんでしょう、狩り漏らした亜龍でも飛んできたんでしょうかね?」

「お前冷静だな……。俺たちはどうする?」


 確かに高位の冒険者は大方出払っているが、街にはいざというときの戦力はちゃんと残っている。

たとえ亜龍の一匹や二匹が襲撃してきたところで問題はないだろう。


「んー、暇ですし門の方までいってみましょうか。もしかしたら何か手伝えるかもしれませんし」


 亜龍も攻撃手段に魔法を使う。

誰かが足止めをしてくれている状況でなら、私も魔法を使えるかもしれない。


「そうだな、いってみるか。たまには俺も勇者らしいことしないと!」


 そう意気込むユウマをみて、そううまくはいかないだろうと思いつつも、口にはださずに優しく微笑む。


「その笑顔やめろ、なんか腹が立つ」

「人の顔をみて腹が立つとは失礼な。まぁいいです、とりあえず行きますよ」


 残っていたオレンジジュースを飲み干し、杖を構えて立ち上がる。


「おう! ま、安心しとけ。俺も強くなったしリナリスが危ない目にあっても守ってやるから」

「言いましたね、なら何が何でも私のことは守りきってくださいよ。その代わりユウマには私の本気の魔法をみせてあげましょう」


 戦う気満々の私たちは、お互いの心意気を確かめながら襲撃を受けていると思われる街の正門へと向った。



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