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2-4


 ユウマとパーティは組んだものの、私は学校があるためそう簡単に冒険についていくことはできない。

休日だけユウマについていくことを許可してもらい、学校は普通に通っていた。

だいぶ図々しいとは思うが、ユウマも勇者としての訓練があり、そんな頻繁には冒険にでれないとの事なので快く了承してもらった。

 

 非常に眠気を誘う授業と、ろくに魔法を使えない私には苦痛でしかない実習を乗りきり、解放感から私が大きく伸びをしていると、険しい顔をした先生が教室へと入ってくる。

 

 「あーお前らに連絡だ。ギルドから、街周辺で亜龍種の群れが確認されたらしい。現在討伐作戦を立てている最中だが、その間危険だから決して街のそへ出ないように」


 その連絡に、私は露骨に顔をしかめた。


「面倒な……。これでは修行に行けないではないですか」

「リナリス、絶対街の外にでたらダメよ?」


 不満げな顔をしているのがばれたのか、ミリアが私の裾をにぎりそんな忠告をしてくる。


「さすがに私もそこまでバカじゃありませんよ。私一人で龍種にあったらさすがにどうしようもないですからね」


 無茶をして夢半ばで倒れては元も子もない。

さすがに私としても、命をかけてまで無茶をする気は無かった。


「そう、安心したわ。龍種も魔法生物ですし、私の眼と魔法があれば余裕です! とか言い出すかと思ったわ」


 ミリアの言葉を聞いてぴたりと動きを止める。


「……言われてみれば確かに、龍種って基本魔法攻撃使うわけですし私と相当相性いいのでは?」

「わー! ダメよダメ! 龍種は魔法だけじゃなくて物理攻撃だって強いんだからね! あなた空から噛み付かれたりしたらなすすべなく餌にされちゃうでしょ!」


 ミリアの言う通りで、さすがに私も本気で龍種を相手にしようとはしていない。

龍種のなかでも格段に弱い亜龍種だが、あれでも立派に空は飛ぶしブレスも履いてくる。

まぁ私が戦ってもいいとこ餌として囮になるくらいが関の山だ。


「嘘ですって。こないだクレアとの戦いで散々ミリアには心配かけましたからね、当分あなたに心配かけるような事はしませんよ」

「そう、それならいいけど……」


 未だに私を信用してなさそうなミリアの眼差しに、私は仕方ないと席を立ち上がる。


「亜龍種は空を飛べますからね、街中にいても安全とは限りません。ということで、たまには一緒に帰りましょうか」


 私がミリアにそう声をかけると、いいの? といってミリアは目を輝かせる。

なんてちょろい子なんだろう、少し将来が心配だ。


「私、ちょっと臨時でお金が入ったので、帰りに露店でもよってご飯を食べに行ってみますか?」

「い、行く! 絶対行く!」


 よっぽど嬉しかったようで、さっさと自分の荷物をまとめると、私の手を取って駆け出した。


「わっ、ちょっとまってくださいミリア! 急に引っ張ったらあぶなっ……!」


 急に体にへんな力がかけられたため、私は思いっきり足をもつれさせてしまう。

あ、っと思った時にはすでに遅く、目の前まで迫った茶色い地面に、私はなす術もなく叩きつけられた。




「ごめん! ほんっとうにごめん!」


 私の隣では、さっきからずっとミリアが謝り続けている。


「いいですよ、気にしてませんから。ただ次から気をつけてくださいね」


 顔を真っ赤にそめた私は、速攻で保健医のところまで行き、止血の魔法をかけてもらった。

今はまた血が出ないようにずっと鼻をかみで抑えている。


「ごめんね、誰かに帰りを誘ってもらうことなんて、初めてだったからつい調子に乗っちゃったの」


 そんな聞きたくもなかったミリアの残念な話を聞いて、私まで残念な気持ちになってしまう。


「ミリアが友達少ないのは謎ですよね、面倒見もいいし魔法も上手いのに」


 割と前から意外だと思っていたので、いい機会だとミリアに聞いてみる。


「……ほら、魔法といえばクレアさんがいたじゃない? だから憧れとかそういうのはみんなあっちに行っちゃてたし、中途半端に魔法がうまい私は話しかけづらいのか滅多に声をかけてもらうこともなく……」


 言いながらミリアの目から徐々に光が消えていく。

クレアなんかよりミリアの方がよほど話しかけやすいと思うのだけど。


「まぁでも、クレアも卒業しましたしこれからはそれも変わるんじゃないですか?」

「……私もそう思ってたわよ」


 そういうとなぜかミリアはきっと私を睨んでくる。


「……あぁ、なるほど、そりゃクレア卒業前に私があの子とあれだけの激闘繰り広げたら羨望とかそういうのは全部こっちに集まりますよね」

「そうよ! 今やクラスの子の注目の的は完全にあなたよ!」

 

 そんなこと言われても私にはどうしようもないのだけど。


「まぁでも、こうして誘ってくれたしいいわ。別に、友達なんて一人いればいいし」

「そうですよ。この私が友達なんだから誇りに思ってください!」


 そんなことを言う私を呆れた目で見ながら、それもそうねとミリアは可笑しそうに笑った。



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