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template romance story …  作者: 篶椰
序章 落ちたのは異世界でした
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第5話 レッド・アラーム


俺は門から続くメインストリートの端に立ち、石レンガの建物が多いマトルクの街並みを眺めながら、まず何をするべきか考えていた。

実は少しだけゼインさんから路銀を頂いているので、それでまずは宿をとろうかな。


ちなみにこの街に入るのには身分証明書やチップは要らなかった。

その分治安が悪くなりそうだが、そこはリーゼリアが言っていたような〝討伐隊〟という自警団的な組織が治安を守っているのだとか。

俺もその討伐隊とかいう奴に入ってみようかと思っている。


それにしてもそこまであからさまでないものの、ジロジロと道行く人々に見られてる気がするな。

もしかしたら黒髪黒目が珍しいのかと思ったが、おそらく違うだろう。

と言うか、アニメキャラみたいな髪色の人の方が少ない気がするし...。

それはさておき、なぜ違うと思ったかというと、その視線が全て服に注がれているからだ。

そう、俺はまだ執事服のままだ。

初対面だと何となく清潔で誠実そうな印象になりそうだし、何より金が勿体ないので服は当分このままにしているつもりだ。


何時までも突っ立っているわけにも行かないので、宿を探しながら街を見て回ることにした。


「おい、お前!」

「ん?」


歩き出して直ぐに後ろから、つまり門のほうから裾を掴まれると同時に声がかけられた。

振り向くと、燃えるような赤色が目に飛び込んできた。


「お前!なんで魔力が感じられないんだ!?なんで執事服なんだ!?どこかの従者なのか!?」

「...はぁ?」


170cmという決して高くない身長の俺がほぼ真下を向かなければならないほどの所に真っ赤な髪の女の子がいた。

可愛らしい顔立ちでオレンジ色の瞳がやんちゃそうな印象を与える。

赤い髪はかなり長めだが、毛先までサラサラなので、育ちの良さを感じさせられる。

赤が基調のワンピース?も高そうなものだ。


でも、執事服の事は分かるけど、魔力が感じられないとか言われてもな...と言うかやっぱり魔法とかあんのかね?


「えっと...どうしたのかな?」


俺は出来るだけ優しそうに見える笑顔を意識しながらそう尋ねる。

親は?と聞こうとしたけど、居るかも分からないから辞めておいた。


「お前も子ども扱いするのか!ティアはもう13歳だぞ!ていうか質問に答えろ!」

「えぇ...?」


十分子供じゃねぇか!?

それに、質問の意味をよく理解してないしな...分かる方だけでも答えるか...。


「この執事服は貰い物だから、誰かに仕えてるわけじゃないよ。着てるのは単にこれしか服がないから。魔力はよく分かんないけど...」

「そうか...可哀想な奴だったんだな。でも、魔力が無いなんておかしいぞ!何者だ!名を名乗れ!」


こんな子にまで同情されるとは...金持ちそうだしあんまり服がないなんてことは無いんだろうな。

ていうかいつまで相手してればいいんだろ?今日中に宿をとって討伐隊とか言うところに行きたいんだけどな...。

保護者.....はよ来い!


「俺は慎司(しんじ)千藤(せんどう)。何者かと言われても、俺は記憶がないんだ...。君は?」

「ティアはフォティア・エクリクシと言う!記憶も無くて服も無いなんてな...お前...シンジは凄く可哀想な奴だ...」

「あはは...そろそろ行っていいかな...?」


やめて!俯いて悲しそうな顔しないで!

あ〜泣きたくなるから早く行きたい...でもこの子...フォティアちゃんは最初は傲慢な子かと思ったけど、ちゃんと人のことを悲しめる子なんだな...。


「待て!ティアも行く!」

「え?フォティアちゃんの保護者はいないの?」

「ティアは子どもじゃない!1人で来たんだ!」

「...ほんとに1人?」


じーと目を見つめるとフォティアちゃんはゆっくりと目を逸らした。

わかりやすいな〜。


「で、でも一緒に来たのは保護者なんかじゃない!ティアの騎士だ!」

「騎士...?」


騎士か...そんなのがほんとについてるならフォティアちゃんは相当高貴な人なのかも知れない...。

そんな事より今は、


「その騎士はどこにいるの?」

「街の外だ!悪者を捕まえに行ったんだ!ティアの騎士は強いからな!」

「外に?フォティアちゃんを置いて?」

「...宿で大人しくしてろって言ってたけど暇すぎて門で待ってたんだ...フレアの奴め...遅すぎるのだ...」


また悲しそうと言うか寂しそうな顔で俯いてしまった。

はぁ〜しょうがない。

その騎士が帰ってくるまでは一緒にいてやるか...。


「わかった。ついてきていいから迷子になるなよ」

「また子ども扱いしたな!」


着いてくるのを了承するとパッと表情を明るくして、元気になった。

コロコロと表情を変えて見てて飽きない子だな...。

それにしてもこんな可愛い子がよく攫われたりしなかったな...討伐隊がよっぽど優秀なのかな...?


「まずは今夜の宿をとりに街を散策するぞ〜」

「宿か?だったらティアが泊まってる所がいい!」

「...いや、そこ絶対値段高いでしょ...」

「お金も無いのか...ならティアの部屋に泊まるか?」

「それは...人としてどうかと思うので遠慮します...」

「そうか?」


こりゃ前途多難だな...。


*****


適当に安い宿屋で部屋を確保出来たので、次は討伐隊の本拠地と言うか詰所みたいな場所へ向かうことにした。


「つってもどこにあるんだ...?」

「...シンジ、お腹減った!」

「確かにな...案外この街広いし、結構歩き回ったからな...」


お腹を抑えるフォティアちゃんの手を引いて、街中をぶらぶら歩く。

どうやら今歩いてる道は繁華街のようで色んな店が立ち並び、屋台も所々に見受けられる。


「せっかくだし屋台で買い食いでもしようか?」

「買い食い...!したい!あ、あれがいい!」

「どれどれ?」


フォティアちゃんがハイテンションで指差したのはタコスのような、なにかの生地で野菜や肉を挟んでスパイシーなソースをかけた食べ物だった。

あれなら立ち食いでも食べやすいし、なにより安い。

1つ大体200円位だ。ちなみに

お金の換算はゼインさんに教えてもらった。

お金は金貨とかではなく、なにかの合金の鋳物のようだった。

つまりあんまり地球のものと変わらなかった。


「これ2つ下さい」

「あいよ〜。おや?あんたの主人は貴族か?」

「え?」


そう言えば俺の服装は執事で、フォティアちゃんはいい所のお嬢様に見えるからな〜。

主従関係に見えなくもない。


「いえ、俺は...」

「そうだ!シンジはティアの従者になれ!」

「ええ!?」

「ハッハッハッ。なかなかお転婆な嬢ちゃんだな、肉おまけしとくぜ」

「うむ。感謝するぞ!」


俺とフォティアちゃんは肉大盛りのタコスもどきを貰い、店主に感謝を述べると少し離れた道の端で食べ始める。

ティアはお金を持っていないようだったので俺が払いました。


「ティアの従者になれば、服やお金に困ることはないぞ!シンジはフレアみたいに口煩くなくて優しいからティアは大歓迎だ!」

「冗談じゃなかったんだね...ていうかそんなに裕福なの?どんぐらい偉い?」

「うーん...少なくとも服は沢山あるぞ!どのくらい偉いかもよく分からん!」

「そうか〜期待してなかったけど、フォティアちゃんも自分のこと全然知らないね...」

「えへへ...」

「笑って誤魔化すんじゃない!」


全く、この世界についても聞いて情報収集しようかと思ったのに、これじゃ期待出来そうにない...。

でもまぁ、1人で心細くならずに済んでるし、良かったかな...?

従者の話も悪い話じゃない気がするけど、相手が何者か分かるまでは迂闊な行動も出来ないしね。上手く話が流れて良かったかな?


その後俺達は迷宮(ダンジョン)の入口が有り、|冒険者(荒くれ者)が多い街の中央を避けて歩き回り、ようやく討伐隊基地へと辿りついた。


「...」

「ここ...ティアが最初にいた門の横じゃん!」

「...すまん」

「でもいいや。シンジと一緒に街を回れて楽しかったし!」

「そうか...ありがとう」


なんとも間抜けな話で、目的地には最初の時点で着いていたという事だったらしい。灯台もと暗しってこういう事を言うのかね...?


と言っても、立派な建物なワケでも無く、掘っ建て小屋のような印象が強い。

薄汚れた木の看板が無ければ、ここが討伐隊の詰所だとはわからないだろう。


「それにしてもシンジ...ほんとにここで働くつもりなのか?」

「...う〜ん。まぁ、外観だけで決めるのも良くないし、1度中に入ってみよう」

「そうか。じゃあ行こ〜!」

「着いてくるのね...まあいいけど」


背後に常時ハイテンションのフォティアを引き連れて詰所に近づき、俺はその扉をノックして、呼びかける。


「すみません!どなたかいらっしゃいますか!」

「いるのはわかってるぞ!出て来い!」

「こ、こら!フォティアちゃん!」

「ああ?なんじゃい?」


俺がフォティアちゃんの言動に冷や汗を流していると、扉がガバッと開かれて中から厳つい大男が顔を出した。

絶対堅気じゃねぇ!


俺は内心ビクビクしながらもフォティアちゃんを隠すように前に立ち、事情を話すことにした。


「俺、この街の...マトルク討伐隊に入りたいんです!雑用でもなんでもしますんで入れさせていただけないでしょうか!?」

「んあ?入隊希望か?いいぜ。こんな廃れた討伐隊に入りたきゃ入りな」

「ほんとですか!?ありがとうございます!」

「よせよせ。で?坊主、名前は?」

「シンジです!よろしくお願いします!」

「オレはハンク。一応隊長やってるぜ」


それにしても良かった...人は見かけによらないな...。

メイドのフィスさんは真逆だったけど。


でもなんか投げやりな感じがするな...。

なにかあったのだろうか?


「それにしても坊主。お前さんはそこの嬢ちゃんの従者じゃねぇのか?」

「いえ、この服はこれしかないから着てるだけで、この子は成り行きで一緒にいるだけです」

「ハンクとやら!シンジを頼むぞ!」

「お?ハハッ任せな!」


どうやら子どもにも優しいらしいな。これで一安心だ。


「だがよ、坊主。このマトルク討伐隊は隊員が殆どいなくなっちまってな。こんな隅まで詰所も追い込まれちまった」

「それは...」

「ここには冒険者が迷宮(ダンジョン)目当てに沢山来るが、その誰もが討伐隊の奴より強い。冒険者は魔物相手に命張るような連中だからな。そんな奴らが屯するこの地を統治するのは難しい。それこそ、逆恨みされて冒険者の集団に襲われることも暫し有る」

「......…」

「その位の覚悟はしておいてくれや」

「...はい」


やはり、甘くはないか...。

この世界にはどの道命の危険がそこらじゅうに潜んでいるのだから、あの魔物を相手にするよりかは、人を相手にした方がマシかな...?

この如何にも腕っ節が強そうなハンクさんもいる事だしね。


「じゃあ、早速だが...」

「はい?」

「坊主がどの程度できるか。試させてもらうぜ?」

「...マジかよ」


結局こうなるのか!?いきなりこんな人とストリートファイトかよ!?やっぱり異世界半端ねぇ!?


冬休みが欲しい...。寝たい...。むしろ冬眠したい...。

あとサブタイトルとかルビのネーミングセンスも欲しい...。

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