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わからない 03
「おなじなんだね」
まっくろなおんなのこがいいました。
そして、まっくろなひとみでぼくをみつめています。
なにもわかりません。でもそれはこのこもおなじ。
それがわかれば、ほかのことはわからなくてもいいとおもいました。
「きみはひとりなの?」
ぼくはききました。どうしてきいたかもわかりません。
「わたしはたんていだから」
「ぼくがいるよ」
おんなのこはくびをかしげます。
「ぼくがいるから、ひとりじゃない」
どうしてこんなことをいったのかはわかりません。
「ありがとう」
まっくろなおんなのこはいいました。
ぼくはよくわからないまま、うなずきます。
「でも、わすれて」
「どうして?」
「わたしはあなたにあっちゃいけない。そういうきまりなの」
「きまり?」
「たんていだから」
まっくろなおんなのこはそういってぼくにせをむけます。
よくわからないけれど、もうあえないきがしました。
「ばいばい」
まっくろなおんなのこは、まっしろなせかいからでていきました。




