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確認事件 06
七年前のあの日、僕は倉庫の隅っこにいた。薄暗い倉庫の中で、僕だけが起きていた。
あーちゃんは僕の手を握りしめ、寝ている。他の子たちも今は寝ている。
その中には死体も混じっている。変な匂いが漂っている。けど、その匂いにはもう慣れていた。
ただ、僕はさっちゃんを殺した瞬間から、眠れなくなってしまった。
いつか疲れて眠れる日がやってくるのだろうか。
そんなことを考えたとき、扉が開いた。薄暗い倉庫に光が差した。
扉の前に立っていたのはいつもの覆面をした男たちではなかった。
黒い女の子。髪も服も黒い女の子。その子は真っ先にこちらにやってきて、手を伸ばす。
一人だけ起きていた僕に差し伸べられたその手は、大人たちのものより小さかった。
「もうだいじょうぶだよ」
それが僕らの、神森未守と或江米太の初めての出会いだった。
第九章、確認事件でした。ある君の入院と桜さんの昔話でお送りしました。次は家出事件です。お楽しみに。