炎上事件 15
当然、お腹が痛いわけではないので、僕は体育館へ向かった。獅子戸君のクラスの劇も気になっていたし、あそこなら一年生が代わる代わる劇をやっているので、退屈しない。
僕が体育館に着いた時、獅子戸君のクラスの出番は終わっていた。仕方がないのでそのまま劇を二つほど見て、野外ステージへ。
ステージではイケメン・美少女コンテストの受賞式が執り行われており、ワタさんが優勝コメントで「二年三組、教室で縁日やってます」と言っていた。それだけで会場は黄色い声援でいっぱいになった。
そのままステージを立ったまま眺めていると、漫才が始まった。僕の周りにいる生徒たちは笑ったり、ヤジを飛ばしたりしている。きっとそれなりに面白いのだろう。
ケータイを見ると、桜さんと別れて二時間ほどが経過していた。そろそろ文化祭一日目も終了だ。
「或江君、ありがとうございました」
後ろで桜さんの声がした。僕は振り返らず、目の前の漫才を見続ける。
「元の様にはできないと思いますけど、仲が良かったころを思い出せました」
それはよかった。僕とまわるよりも、有意義な時間が過ごせたみたいだ。僕は一回頷いてから口を開く。
「クレープ食べませんか?」
「はい! もちろん!」
振り返ると桜さんは満面の笑みだった。