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炎上事件 11

 国町さんの話を一通り聞き終えた僕は、連続放火事件の真相について一つの答えを導き出すことができた。


 どうして未守さんが犯人のことを『家に帰れなくなった人』と表現したのか、どうして『好きにやらせてあげる』という結論に至ったかはわからない。


 ただ、未守さんに警察には話してはいけない、と言われているので僕は何もできない。放火犯の次の犯行はおそらく次の日曜日で、国町さんも日曜日の夕方に警察に行くそうなので、それまでは何も動きはないだろう。


 つまり、僕は土日に開催される文化祭に集中するしかないということだ。未守さんがやたらと僕に文化祭を頑張るように言っていたのも頷ける。初めから僕にできることは何一つなかったのだ。せいぜい首を突っ込むことくらいしかできない。それが未守さんにはわかっていた。だから、今回は手伝わなくてもいいと言ったのだ。未来のことはわからない未守さんでも、そのくらいはわかっていたのだ。


 僕がアオヰコーポの前まで帰ってくると、ちょうどゆずかちゃんがツインテールを揺らしながら、外階段を下りてきていた。


「ゆずかちゃん、もう帰るの?」


「うん、今日は宿題多めだから」


「そっか。宿題、頑張ってね」


「ねえ、弟くん。みもちゃんは大丈夫って言ってたけど、ゆうとくんほんとに大丈夫かな」


「よく寝てるって話だっけ? 仲いいんだね」


「去年は隣のクラスだったけど、今年は同じクラスだから。あと、ゆうと君も私も、高校生のお姉ちゃんがいるから」


「まあ、未守さんが大丈夫って言ったんだから大丈夫だよ。ところで、ゆうと君の苗字を聞いてなかったから、教えてもらってもいいかな?」


「夕波悠斗」


 これで、全てが繋がった。僕の予想が的中してしまった。国町さんが言っていた優成さんのフルネームは夕波優成。僕のクラスメートの夕波さんのフルネームは夕波有紀。ゆずかちゃんの友達で高校生のお姉さんがいる、ゆうと君のフルネームは夕波悠斗。


 この三人は兄弟だったのだ。国町さんの話を全て信じるのなら、優成さんには妹と弟がいて、その二人は優成さんを殺したのは、石丸建次さんと国町さんだと思い、その二人を恨んでいる。そして、放火現場を見に来たり、第一発見者になったりしている夕波さん。授業中ずっと寝ているゆうと君。これらは、この二人が夜中に何かを行っている証拠である。


 つまり、夕波さんとゆうと君は、連続放火事件の容疑者と言える。

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