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空瓶事件 13 八月二十五日 月曜日
二学期の初日の朝、文月高校の二年三組の教室で僕らの担任は教卓で口を開く。
「今日から新学期です。わかっていると思いますが、これから始業式とその後で委員会などを決めたり、席替えをしたりします。でも、その前に……転入生を紹介します!」
突然の転入生という言葉に、教室は一気にざわつく。男子も女子も同じくらい騒ぎ始めた。担任はドアまで行くと、開ける前に「静かに」と言った。
開かれたドアから教室に入ってきたのは制服の上にブレザー代わりと言わんばかりに桃色のパーカーを着た、桃色のふわふわした髪の少女だった。
「はい! 桃色の占い師、花桃結花です。皆さん、皆さん、よろしくしてくださいです」
花桃さんは手を挙げて言った後、桃色の瞳で僕にウインクをしてきた。
第七章、空瓶事件でした。回想メインでお送りしました。ファーストキスのエピソードはどうしてもやりたかったので、書けて良かったです。そして、花桃さん再登場。次は新学期、文化祭のお話です。