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わからない 01
この作品は昔とある新人賞に出すために書き、落選したものです。それをベースに、固有名詞やタイトルなど変え、書き下ろしを加えたものになります(書き下ろしは第五章以降)
まっしろなせかいにいました。
めがさめたときにはまっしろいへやにいました。
まどのそとだけがどこまでもあおくて、ただ、そのあおいせかいをみつめていました。
めをさましたあと、なんにんかのひとがやってきました。
そのひとたちはかおをぐしゃぐしゃにして、なきました。
ちからいっぱいだきしめて、かえっていきました。
けれど、そのひとたちがだれかわかりません。
じぶんがだれなのかもわかりません。
どうしてこのしろいへやにいるのかもわかりません。
だから、まどのそとをみつめることしかできません。
なにも、なにも、なにも、わかりません。
どうしてしろいのか、どうしてあおいのか、なにもわかりません。
「だいじょうぶ。あなたはひとりじゃない」
さんばんめにだきしめたおんなのこがいっていました。
けれど、そのいみもぼくにはわかりませんでした。