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異世界ニート達の挽歌
これを以て最終話とします。
道化の恰好をした男が笛を吹きながら歩いて行く。笛吹き男は、その名も鼠捕り。
波のさざめく浜辺を、のどかな農村を、そして東京の街中を。
笛吹き男について往くのは130万人のニート達。
山を越え、谷を越え、ニート達の行列は、あら不思議、気付けばそこは異世界でした。
「思ってたのとはなんか違う。笛吹き男もいつの間にか居ないし」
そこは草木生い茂り、花咲き乱れ、木々には豊かな果実。そこは桃源郷。
「でもお風呂がないね。というか家がない」
鳥たちは空に舞い踊り、動物たちは地に駆け巡る。
「肉食いたい、肉。でも、武器とかないしね。なんか計画を立てよう」
そうして130万人のニート達は、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
「あれ、俺達労働してね……?」
めでたし、めでたし。
まぁ、色々と苦難もあったんでしょうが。
多分、幸せに暮らしましたとさ。多分。
めでたし、めでたし。