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朝の訓練が終わり、朝御飯となるわけだけれど……
朝日達のご飯どうしよう……
俺はフォーハンドエイプ食があるけど、朝日達にまであの超不味い肉を食わせるのは忍びない。
となると、獲ってきて貰うしかないか……
朝日達の朝御飯すら用意できない俺って…………情けない。
「アサカとアサヒ。
すまないんだけど、自分たちの朝御飯自分たちで獲ってきてくれるかな?
俺は大丈夫なんだけど……」
自分の言っていることが屑過ぎて泣きたくなる。
「「ガウ!ガゥ!」」
分かった!ムツキのも獲ってくる!
ってそれじゃあヒモ男ですやん。
「大丈夫だよ。俺の分はあるから」
「「クゥゥン……」」
嫌なの?
ってそれじゃあ断れないじゃないか……
「分かった。俺の分も頼むね?
でも、ついで、でいいからね?
できればでいいからね?
それと早めに帰ってきて」
今日から移動しないといけないし。
「「ガゥゥ!」」
分かった!っと言って駆けて行った朝日達。
意気揚々と出ていったけど、出来ればあんまり頑張って欲しくはないかなぁ……
っと言っても、獲ってくるだろうけど。
朝日達に足を向けて寝れないなぁ……
早く金を稼いで朝日達に少しでも良いものをあげないとな……
さてと、俺もやらなければならないことをやりますか。
まずは、カルマ達の朝御飯作りだ。
カルマ達を起こさないようにカルマ達のいる家から2軒ほど離れた家の厨房を借りることにして、竈に火を起こす。
火が安定したら、井戸から水を汲んできて厨房にあった鍋で沸かす。
そうしたら野菜を突っ込んで塩を投入。
暫くそのままにして完成!
これまた厨房にあったフォークを使って味見。
「食べれなくはない……」
そう食べれなくはなかった。
つまり、あまり美味しくない。
自慢じゃないけど、俺は料理したことない。
精々、出来たものを運んだり、米をついだりした程度。
家事のほとんどは父さんがやってたし。
母さんはまぁ、察してくれって感じでダメダメだったからなぁ。家事に関しては。
その他のことなら出来る女って感じの人なんだけど。
葉月も母さんに似たのか、学業や部活の成績は凄いの一言だったけど、家ではダメダメだった。
まぁ、俺はその三人には似ずに、至って普通の子だったけど。
とりあえず、目の前にあるスープ擬き以外食べれそうなものといったら鍋を探す途中で見つけた干し肉(?)とたぶん小麦粉を固めたものだろう乾パン擬き。
うん。父さんに料理習っとけばよかったなぁ……
今後悔しても仕方がないんだけどさ。
とりあえず、二人を起こすか。
燃えてる薪を散らすことで火を弱めて、二人が寝てる家へと向かう。
すると、既にカルマが起きていた。
一瞬俺が入ってきた時にビクッと体を強張らせたが俺だと気づくと警戒を解いてくれた。
「やあ、おはよう」
「……おはようございます」
寝起きというよりは赤の他人だからまだ返事とか表情が堅い。
これから緩めてくれるよう努力しよう。
「朝御飯、作ったんだ。
味は、まぁ、食えなくはないくらいのスープ何だけどさ」
味を思い出して苦笑いする。
本当に不味かった。
味噌汁とかが恋しくなるほどに。
「そう、ですか。
あまり食欲が湧かないので――」
「ダメだよ。食べないと」
ニッコリと笑って俺の真意を伝える。
せっかく作ったのに、食べないと食材が勿体無いじゃないか。
それに村の人達が作ったもの何だし。
一口食べて食えないと判断してからならいいけど。
その場合は食材を無駄にした俺が悪いんだから。
「……わかりました」
渋々というか嫌々頷く。
強制してるから仕方ないと思うけどさ。
「それじゃあ、ミーアを起こしてくれないか?」
目が覚めた時に見ず知らずの俺の顔が見えるよりはカルマの顔が見える方がミーアも安心するだろうし。
カルマ自身もやらせてくれないだろうし。
「はい。
ミーア、起きて、ミーア」
カルマは呼びかけながらミーアの体を揺する。
暫くすると――
「んむぅ……お兄ちゃん………?」
「ミーア、朝だよ」
「……あ……さ……?
ママ!ママぁぁぁぁ!!」
昨日のことを思い出したのか、ミーアは泣き出してしまう。
「…………ミーア」
そんなミーアを落ち着けようとカルマはミーアを抱きしめる。
そんな二人を、俺はただじっとして見てるだけだった。
ミーアが泣き止むまでずっと。
ミーアは泣き止むとカルマの背後に隠れた。
いや、まぁ、分かっていたけどさ。
やっぱり拒絶されると悲しいよね。
「えっと……おはよう、でいいのかな?
俺はムツキだよ。
って違うか。
朝御飯作ったんだ。
あんまり美味しくはないだろうけど食べてくれないかな?」
どう話しかけていいのか困ってしまい変な感じになったけど仕方ない。
だってカルマの背後からジーっと見られてて緊張したから。
「……朝御飯………」
ぐぅーとお腹のなる音が。
どうやら、相当腹が減ってるらしい。
「ついてきて、2つ離れた家をお借りして作ってあるから」
こういうときにもっとちゃんとした言葉をかけれない自分の口下手さが恨めしい。
でも、ミーアはコクッと頷いてカルマの服の裾を握りつつ、ついてきた。
カルマはなされるがままだ。
2軒ほど離れた家にて、俺が作ったスープ擬きを2つ皿に注いでカルマ達が座るテーブルへと運ぶ。
「味はダメダメだけどおかわりだけはあるからね」
二人の前にスープ擬きを差し出してスプーンとフォークも持ってきて渡す。
ジッとスープを見つめる二人。
「さ、食べて、食べて。
温かくないと余計に不味くなるから」
二人は漸く怖ず怖ずとスープを食べていく。
「……温かいね」
「……うん」
温かいだけだけどね。
でも食べてくれて嬉しいよ。