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異世界の勇者は何を見る  作者: 小淵執悲
第1章 異世界召喚
5/50

5話

side 英雄



力也のやつあんなに食うの早かったか?何時も俺と同じくらいだったのにな…


「勇者様!」


ん?第三王女の…ルナちゃんだったな。確か15才だから俺より一個下…いや、同じ学年の可能性もあるのか


「はい、なんでしょう?」


「あ、私の方が年下なんだから敬語はいらないですわよ?」


この手のタイプはどうせ断っても無駄なタイプだな…


「そっか、なら普通にいかせてもらうね」


「ええ。それにしても、勇者様は凄いですね、全属性にあそこまでの適正があることなんて普通ありませんよ?」


「そうかな」


こうまっすぐ言われると照れるなぁ


…そういえば力也に誉められた程度で照れるなとか言われたっけ?何でだっけか………ん?


「ルナちゃん?顔赤いけど熱でもあるの?」


「い、いえ!な、なんでもありませんわよ!?」


…?急に慌ててどうしたんだろ…具合悪いなら休んだ方が良いと思うんだけどな…まぁさっきまで大丈夫そうだったし様子を見るか


「そう?ならいいんだけどね」


「はい!」


「お、やっぱり笑った顔は可愛いね」


「はへぇっ!?」


はへぇ?


「ど、どうした?」


「いっ、いえっ!大丈夫ですよ!?」


いや、大丈夫そうに見えないからなんだが…


「はぁ、これが勇者、かのう…」


「ははっ、伝承や先代通りじゃないかい。まぁ力也君の方は少々毛色が違うみたいだがね」


「私はそっちの方がましね。デイジリーはどうだ?」


「……」


な、なんだ?睨まれてる?


「せいぜい強くなることね……ごちそうさま」


「ふっ、お前も好かんか」


コクリと頷き出ていってしまう


…いきなり嫌われたなぁ……どうしてだ?


「妻と娘が悪いね。あまり気にしなくて良いから」


「あ、はい。お気遣い感謝します」


「ふむ、魔王は予想通り、か」


「しょうがないですわよあなた、彼女には彼女の価値観があるんですから」


「分かっておるさ…うむ、励みたまえよ我がカエイラの勇者よ」


「は、はっ!期待にそえるよう誠心誠意尽くします!」


急にふられて焦ったが…大丈夫だったかな?


「うむ…マニ、レオン、政務の続きに戻るぞ」


「はい」


「了解です。ごちそうさまでした…頑張ってな」


「はいっ!」


国王は頷いてたから大丈夫かな?王子からの応援もあったことだしちゃんとやらなきゃな!


「…ごちそうさま」


「ごちそうさまでした…っと、マールよ、少し話そう」


「…?分かったわ」


そう言って二人は出ていってしまう…この二人とは一言も交わしてないなぁ…もしかして嫌われてる?俺…


「お、お姉様方は元々あのような感じですので!あまり気になさらずとも…」


焦ったようにルナちゃんが励まそうとしてくれる。顔にでちゃったかな?


「そっか…なら気にしないことにするよ。ルナちゃん、ありがとね」


「い、いえっ…あ、あの…」


「どうしたの?」


「こ、この後お部屋にお邪魔してもよろしいでしょうか!?勇者様の世界のお話も聞きたいですし…勇者様とお話も…」


「ルナ姉様、あまり勇者様に迷惑になることは…」


最後の方はゴニョゴニョとして聞き取れないけど…元の世界の話が聞きたいのかな?


「ああ、全然構わないよ」


「あ、ありがとうございます!」


口調が変わってる気がするが…気のせいか?


「ははっ、本当凄いな、会って少ししかたってないのにね…ラグ君、諦めた方が良いよ」


「…そのようですね」


ハァ、とため息をついてるけど大丈夫か?ラグ君


「勇者様!さっそく行きましょう!」


「お、おう…ごちそうさまでした」


いつのまにかこちらに回ってきたルナちゃんにうでを引かれて部屋を出る


メイドさんが後でお飲み物をお持ちしますと言っていたのが聞こえた



side out


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「そうだ、ミーナ」


「はい、なんでしょう?」


「ミーナって猫耳着いてるけど…獣人とかそういう種族?」


「はい。私は猫の獣人で、ヒトよりです。種族について説明いたしましょうか?」


「たのむ」


「はい、この世界にはまず私達人間と魔物、獣、神獣に精霊が存在します。それぞれにはそれぞれの特徴がありますが、今は人間についてのみとさせていただきます」


色々いるのな…神獣ってのはやっぱ龍とかか?一度は会ってみたいよなぁ…


「現在、人間にはヒト、獣人、魔族の3種族存在します。元々ヒトは魔法を使うことができなかったのですが、魔族と交わることで使うことができるようになりました。このとき、魔族の血を濃く受け継いだのが獣人、ヒトの血を濃く受け継いだのがヒト、ヒトと交わらなかった純潔の魔族と別れました。現在の人間はほぼ全てに魔族の血が流れていることになりますね」


「…へえ、それならヒトも獣人も親は同じだってこともあるのか?」


「いえ、結構片寄ることが多いのでそのような例は少ないですね。たまに異種間での子に見られる程度です」


「ふうん……なんでヒトは魔法が使えなかったんだ?」


「はい、魔法を使うのには魔力が必要なのですが、あらゆる生き物における含有魔力にはある法則が確認されています。生き物は皆魔力の入る器を持っている、というものです」


「魔力の器?」


「そうです。その大きさは皆違い、魔力はその器の大きさまでしかためることができません。また、魔力は自然回復しますが、器の分までしか回復しません。ただその器は、一度ほぼ魔力が空の状態になると自然回復の時に少しその大きさを増す事が判明しています。魔力は生命の力の源ですので、防衛本能が働いてるものと考えられています」


なるほどね、器と魔力…か


「ですが、純粋なヒトには生まれつき持っている器がとても小さく、さらに先の方法ではほとんど大きさが変わらないという現実がありました」


「…それで生命維持に全てが使われ、魔法なんか使ったら即命に関わるから使えなかったと」


「その通りでございます」


…ん?確かさっき借りた大まかな歴史のスタートにあったヒトと魔族の戦争、あれは…


「…だがさ、まだ魔法見てないから分からないが…魔法だろ?それにヒトはどうやって初めの戦争を戦ったんだよ?」


「当時ヒトは魔法に対抗する手段として科学技術による兵器で立ち向かったそうです。文献によれば戦車、や戦闘機、毒ガス地雷、爆弾と大きいものから小さいものまで沢山あったそうです。実物を見たことはありませんが」


…使われてたのはもとの世界と変わんない…?


だが


「その言い方、今では存在しないみたいな言い方だな」


「はい、そうなんです。ある事件をきっかけに、世界の人間があることを学んだからです」


「……科学では魔法に勝てない、か?」


「はい。圧倒的です」


……なるほどね


「……そっか」


つまりヒトはその戦争に負け………ん?負けてたら今みたいな世界はあり得ないか…ならどうして…?


「その初めの戦争、勝ったのはどっちだ?」


「勝敗は互いの被害が大きくなりすぎたため和平条約を結び終戦したので引き分け、と言ったところでしょうか」


「…魔法のが強いんじゃなかったのか?」


「その事実が判明したのはその戦争の後のことでしたので。後は人口がヒトの方が多かったといったところですかね」


「なるほどね…ありがと」


人海戦術、どのファンタジー世界でも人の得意技だな


「いえ」


……獣人、魔物…か。ファンタジーじゃ定番だが、先祖が同じってんなら種族による差別も少ないのかな?


この国にとっての勇者なんて重要な立ち位置の侍女が獣人なんだし……


いや、もしかしたらそこまで勇者は重要じゃないのかもしれないな


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