3話
「流石ですね」
今は魔力含量、その測定が終了して次に向かう最中だ
「これに関しちゃ自分で苦労して増やしたって訳じゃないからな、なんとも言えねえけど」
勿論俺も英雄も満点を叩き出したわけだが
「にしてもビックリしたなあ、ミーナさんはもっとあると思っていたんだけど」
「申し訳ありません、これでも増やした方なんですが、どうにも増加率が悪くて……」
「しょうがないさ、でも48点か、これで最高でもCランクにしかならないとなると少し厄介かもな」
「そうか?このくらいの年代なら強くてもC~Dランクだって言ってたのは力也だろ、気にしなくて良いんじゃないのか?」
実際はそんな簡単じゃない……
こいつ本当は分かってて言ってねえよな?
「ミーナは獣人だぞ?どういう目で見られるか、どういうやつに目をつけられるか、予想がつかない。そんな中ならやっぱBやAは欲しかったのが本音だな」
「うぅぅぅ、すいません」
あ、やべ、言い過ぎたか?
くそ、どうにもここら辺の気配りは出来ねえ
「き、気にしないで次だ次!魔力操作に行くぞ!!」
ここら辺の感情の機微には英雄のが敏感だ……なんで自分への恋愛感情には気が付かないのか不思議なくらいに
…
……
「………」
「開いた口が塞がらないってのはこういう事だな」
自分の結果に流石にショックで固まってると計測を終えた英雄が言ってくる
『主、英雄に言われておるぞ』
うるせえ、言い返せねえだろ!!
「力也様、誰にでも得手不得手はあります!!」
ミーナも終わったか
『クックック、侍女に慰められるとはのう』
「あー、くそ、まさか此処まで下手糞だったか……英雄はどうだった?」
「ふっふっふ、俺は83点だ!!的当てだしただの火の玉で十分だしな」
「流石だなぁ、ミーナは?」
「あ…え、えと………」
「ミーナさん、力也はこういう時下手な情けは欲してないよ……現実を教えようぜ」
はあ、俺の事を本当に良く分かってるが……こいつに言われると腹が立つ
「………98点、です」
「すごっ!完敗だ…」
『いやはや、思った以上にやりおるのう……なあ?48点さんよう』
「あーあ、これで俺も最高でCクラスかよ……他でしくらねえようにしなきゃな」
「ほんとだぜ、勇者の従者じゃなくて、勇者自身がCランクじゃあ示しがつかないんじゃないか?」
全くもってその通り、いよいよまずくないかこの状況
『隣にSランクがいるせいでよけいにの……』
「まあ予想はしてたし良いか」
「良いんですか!?」
「力也はそう言うと思ってたよ、何とかするんだろ?どうせ」
……創造属性ばっかにかまけていたせいで自分の体から離れた魔力の扱いはゴミのようだったな
「さっさと次行くぞ、まだ三つだ…今日中にあと二つは終わらせないといけないんだ」
「おうよ、早く終わらせようぜ」
side out
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side アナスタシア
…まったく、姫様にも困ったものね
手元の資料、三名の能力値の結果に目を通す
聖名英雄
16才
魔力適正率) 火100水98土99風97氷95雷100光100闇92無94創造95
操)83
含)100
威)100
耐)77
支)82
詠)86
変)91
干)71
抵)100
戦)67
計)857 Sランク上級魔導師
黒戸力也
16才
魔力適正率) 火15水31土29風34氷20雷9光26闇7無36創造100
操)48
含)100
威)100
耐)81
支)44
詠)95
変)92
干)51
抵)100
戦)100
計)811 Cランク上級魔導師
ミーナ・クロイツェフ
※獣人(猫)
16才
魔力適正率) 火42水52土36風63氷57雷48光56闇72無42創造39
操)98
含)48
威)58
耐)50
支)88
詠)45
変)100
干)80
抵)100
戦)91
計)758 Cランク中級魔導師
獣人を入学させることを許せと来ましたか…特別なものがあるかと思いましたが。どうにもそこまでのものは無さそうですし……何が目的なんでしょうねぇ
一口紅茶を口に含みのどを潤す
「まったく、入学当時から問題の生徒でしたが、卒業後まで迷惑をかけるのはいただけませんよ」
「ですな。リリス姫は相変わらずだ」
心底嬉しそうに述べる男はヤコブ、今この部屋には私とこの男のみ
「ごめんなさいね、問題児ばかりあなたに押し付けて」
「いえいえ、私自身楽しんでますから。それに「人心支配」と呼ばれる世界的魔法使いに言われた事を断るなんて真似する奴は無知な馬鹿か愚か者くらいですよ」
「それから私よりも強い者もよ、ヤコブ」
「そうでしたね…で、どうです、あの三人は?」
何度か同じやり取りをしているが、どうもこの男はこのやり取りを気に入っているようでしょっちゅうやる、嫌では無いが忙しい時は止めて欲しいものだ
「一人は数値的には優秀、戦闘経験の少なさがネックですが今後は相当の成長を見せてくれるでしょう」
聖名英雄、思った以上に成長が早い。その上人を惹きつけるカリスマ、天性の才ね
「数値的には?やけに含みを持たせますね」
しっかりとこちらの意図に対応して望む返答をしてくれる、実に話しやすい……少しのにやけ顔が無ければ。
まったく、この男は卒業した者にはこういう態度のくせに在校生には厳しくいくものだから怖がられているのよね……少しは考えてほしいわ
「ええ、まあ……実際に会った感覚で言うならば、もう一人…黒戸力也の方が私としては恐怖でした。無意識に私に対して恐怖を感じていましたし、勘も相当………厄介事のにおいがしますがそれはむしろ望む事なので良いですが純粋な実力で言ってもこちらの方が上でしょう」
「ほう……ですがCランク、同じ上級でも数値は40も離れてますが?」
「得手不得手がはっきりしていて良いではないですか、ここから不得手を克服させるも得手を伸ばすも良いですが、勇者として生きるなら前者……それはつまりませんね」
そう言うとヤコブは「はあ」と大きなため息を隠そうともせずにつく
「つまるつまらないの問題じゃないんですがね……ま、そういう方向にそそのかしますよ、勇者として生きるのはもう一人だけで良い、それでいいんですね?」
「ええ、よろしく頼むわ」
これに関しては姫様、ヤコブはリリス様だと思ってるでしょうがこれに噛んでいるのはマール様
本当、珍しくて二つ返事で了承してしまいましたよ
「そう言えば理事長、マール様の生徒会長就任への打診の方はどうなりました?」
「……それを今聞きますか?」
「はぁ、分かってはいましたが無理でしたか……本当に彼女は読めないですね」
「そうね」
でも、黒戸力也に加担しているのは分かっているし、面白くなりそうね
「そう言えば読めない娘で思い出しましたが魔王の娘のデイジリーさんは、どうですか?」
確かドゥーカの当主すら既にしのぐ強さ、彼女がジャッポネ学園に対抗する最後のキー
「ついでに持ってきましたよ、見ますか?」
「ええ」
ヤコブから書類を受け取り目を通す
デイジリー・シャイニーラ
16才
魔力適正率) 光
操)91
含)100
威)99
耐)81
支)90
詠)91
変)82
干)78
抵)88
戦)99
計)899 Sランク上級魔導師
「…高いですね」
「でしょう?」
……高い、確かに高いわ、でも何かしら、この不安
「やっぱ理事長は、彼女が手を抜いていると思います?」
「そのまえに、この魔力適正は何?ふざけてるのかしら」
「やっぱそこ聞きますよね……どうも自己申告みたいで、測定を拒否したようですよ」
……ますます怪しくなるじゃない、世間では魔王の子供はいったい誰との間に出来た子供なのかって事で未だに落ち着いているわけではないのに
「……問題児は増える一方ね」
「一つ報告しておきますが」
「何かしら?」
「デイジリー・シャイニーラ……彼女は自分より強いです。制御は不可能かと」
「………この戦闘経験に99点をつけたのはあなたですよね?」
「測定の結果は、です」
なるほど、つまりそこでの手の抜き具合から実力をある程度予測してるのね
「全力なら?」
意図は伝わっている。ひとしきり悩む素振りを見せて、最終的に
「雷の覇者クラス」
そう一言だけ言う
「まさか、ね……」
長生きはするものね、こんな面白い状況が現場で体感できるのだから…
side out




