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異世界の勇者は何を見る  作者: 小淵執悲
第2章 学園編
41/50

1話

2章、始まりです


あの事件から一か月弱、か……早いな

俺が右腕を失ってからそれだけ経つと考えるととても長く感じる、それだけ濃い日々だった


俺は今ある部屋の椅子に英雄と並んで座り、目の前にはここ、カエイラ学園にまで俺と英雄を連れてきた男が座っている


「以上がこの学園での規則です、その範囲であればあとは基本自由ですので」


男は淡々と要点だけを説明する


カエイラの国一番の学園、各国それぞれ一校ずつ存在する国の名を冠する代表校ね


「要約すると、揉めたら決闘で決めろって事か簡単でいい。だけど通常生活中の戦闘が普通に認められてるとか治安悪そうだな」


「実力主義の国の意向を表していますからね、自分の身を守れない者は虐げられて終わりです」


「それは…大丈夫なのか?」


「ご安心ください、相当なことをやらかさない限り大きな問題にはなりませんよ」


英雄は不安そうか、なんだかんだ言いつつ乗り切るのがこいつだが


「今は入学式を行っていますが、そこで勇者様方の編入を全体に向けて伝えますが、ご挨拶を頼めますか?」


面倒だな


「それはこいつがやるから、俺はパスで」


「え!?丸投げかよ!」


こういう演説はお手の物だろうに


「俺の存在もついでに伝えといてくれればいいからさ。問題ないよな?それと、俺らは二人ともSクラスでいいんだよな?」


「挨拶に関しては大丈夫だと思われます。クラスに関してももちろんSクラス、最上位のクラスですので頑張ってください」


説明をしていた男がそう答えると見計らったかのようなタイミングでドアがノックされる


「失礼する、君たちが今回編入する勇者か」


返事を待たずに部屋に入ってきたのは歴戦の戦士のような風貌の男、そして黒いマントを纏った妙齢の女


「初めまして、私はこの学園の理事長を務めているアナスタシア・ローゼンと言うものよ。この礼儀知らずの大男はヤコブ・クリエール、2年Sクラスの担任を務める男よ」


「ヤコブだ、君たちの担任となる。よろしく」


俺と英雄は会釈で返す


クリエール……ドゥーカ・ファミリーの創造属性か。強いな…この男


だけど、なんだこの違和感……いや、怖いのか?あの女が


「安心なさい、私は敵ではないさ」


っ!


見抜かれている?


「さて、勇者聖名英雄(せなひでお)及び黒戸力也(くろとりきや)、我が校にようこそ。我々はあなた方を歓迎します」


「君たちは既に相当の実力者と聞いている。シャイニーラさんと共に大会で活躍する事を期待しているぞ」


デイジリー・シャイニーラか、あの女にはまだまだ勝てる気がしねえな


「能力値などの測定は今日の午後と明日の午前中で行う。明日は君たち二人とシャイニーラさんがメインの番号持ちへの決闘を用意している。面倒だと思うが勇者という存在が下に見られても困るのでな、やってくれ」


「ま、それくらいはしょうがないかな」


久しぶりに英雄とガチバトルかね


「能力値ってなんだ?」


「……………お前は、やっぱバカなのか?」


「いや!そんなのまだ聞いたことねえし!!いったい何なんだよ!」


「やったら分かるよ、取りあえず演説の準備でもしてな」


そう言うと思い出したような反応をしやがる、大丈夫かこいつ?


「それもそうだ、まずは目の前の事だな」


「話は纏まったかしら?」


「ああ」「はい」


「それじゃあ、これからよろしくね」


そう言って理事長は右手(・・)を差し出してくる


「はい、よろしくお願いします」


俺はそれに対し、右手(・・)で応じる





……





「ふー、緊張した」


部屋に英雄が戻ってきたところで英雄がでかいため息をつく


「お前も緊張するんだな」


「あたりまえだろ!全校生徒の前だったんだからよ、流石に全く緊張しないわけないよ。でもちゃんと終わったし、そろそろ能力値の説明してくれてもいいんじゃないか?」


「それもそうか…つっても別に簡単だぞ?魔法をどれだけうまく使えるのかを数値化しただけのものだしな。十項目に分かれてるんだけど、まあお前なら良い線行くんじゃないか?」


「なるほど…じゃあ実際どんなことして測るんだ?」


言われてここに来る前に姫さんに聞いたことを思い出す


「たしか水晶みたいのに魔力込めて魔力量測ったり、的当てみたいな事をやって魔力の操作を測ったり、どうもお遊び感覚で行けるような事ばっかだったぞ」


「お、なんだそれ楽しそうだな!!」


「あとは軽い模擬戦みたいなこともやるみたいだし、まあ頑張ろうぜ」


「おうよ!!」


燃えてきたーとか何とか言ってるけど大丈夫か?


そんなこんなで英雄を眺めてると不意にノックの音が響く


「力也様、お待たせして申し訳ありませんでした」


「ミーナか、入っていいぞー」


「失礼します」


部屋に入り頭を下げるミーナを見て英雄が顔を険しくする


「なあ力也、本気なのか?」


これは幾度となくされた質問、当たり前だ、俺だって何度も止めようとしたさ


「本人が望んでるんだ、しょうがないだろ」


「……絶対辛いぞ?」


「私が決めたことですので、覚悟のうえです」


「でも、わざわざ学生としてじゃなくても…」


そう、ミーナが今身に着けているのは見慣れたメイド服じゃない、学園の制服だ


「何時いかなる時も主人の傍でお守りするのが私の役目ですので」


「ま、ソフィーと違ってこいつは元より戦闘に精通してるし、何とかなるだろ」


実力でSクラス入りを果たしたしな


「……まあ俺がこれ以上言うことでもないけど」


「ま、そうしてくれると助かるが。あ、言い忘れてたが」


「なんだ?」


「学園でだけど、なるべく俺とは関わらない方が良い」


「え?どうして……」


「ミーナの事がどうなるかわからん、どうも学園唯一の獣人になるみたいだし、大丈夫だと判断されるまでは近寄らない方が良いだろ」


「た、確かにそうだけど、それは…………」


「心配はいらねーよ、元よりお前が居なきゃ一人だったんだ、前の世界と比べりゃミーナがいるだけましさ」


「……分かった」


いかんせんタイミングが悪いし、英雄の心配もごもっともだ。ミーナにしたって俺の事を第一に考えたら辞退するし、実際辞退するって言いだしたんだよな


「申し訳ありません、わがままを通していただいて」


「気にすんな、俺が良いって言ったんだしな」


でもまあ本心は通いたがってる事が丸分かりだったから、連れて来ちゃったんだが


「最悪ソフィーと同じように寮の部屋で家事専任な」


「承知しています、迷わずご命令ください」


ま、一回許可したんだ、相当の事がなきゃそんな事はしないが



面倒だがこれからは学園での生活だし、楽しめればいいんだけどなあ




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