40話
「それで、話に入ろうか」
姫さんと対面、まじめな雰囲気でテーブルにつく
「告白の返事はしてないが良いのか?」
「うっ……それだが、まあ力也が学園を卒業する再来年まで待つ、それまで考えておいてくれ」
「はいよ」
なんとも微妙な感じに…
「ゴホン、取りあえず現状昨日の暴動がどうなったのかとか、姫さんが知ってる情報をできる限り教えてほしい」
わざとらしく咳払いをして話を始める
俺の裏にはミーナ、姫さんの裏にはリーリアとシアが並んで佇んでいる
「そうだな、まず先日の暴動だが、ロンダンのクーデターがきかっけなのは言うまでもないだろう。だが、あそこまでのモノではない、今回の奴らの目的は単純明快、同胞の避難だ」
「……ロンダンでは少数派の人間、獣人、親族であるドワーフが居たはずだが、完全に排除された。それに感化され同じようなことが起こるやも知れぬ。他種族を迫害してきた歴史の色濃い人間の支配する国である我がカエイラで普通に生活していく事に不安を募らせた結果であろうな」
「…どうもどの世界の人間も好きになれねえな」
「まあお主はそうであろうな。次にだが、我が国のドゥーカ・ファミリー、獣人代表炎のファール、雷のイカーチ、魔族代表闇のシャード、親族代表エルフ、無のナッスクラ……この4家は完全にドゥーカ・ファミリーから外された。繰り上げでドゥーカ・ファミリーに後任として就任したのは炎にはフィファール、雷にはエレー、闇にはダグラス、無にはバニラ…まあ不思議な連中だがそれぞれ面白い魔法を持つ、今後に期待だな……それにこれのおかげで王宮の方にも少なかったドゥーカの家の者が増える、少し助かった」
「今までが特におかしかったんだよ、九割がた魔王側についていたなんてバランスなんてあったもんじゃねえ、これからは英雄のおかげで今後はこっちにも増えるだろ」
「うむ、ドゥーカ……この力がうまく分散してくれればいいんだがな。だがとにかく、今回の件で残った人間以外の種族はかなり生きにくい国になってしまったことに変わりは無い。だが良いことがあるとすれば、この国は実力至上主義、ここ最近生ぬるくなったジャッポネとは違いまだまだ健在…残念ながら若い世代はその限りではないが、多くは実力があれば受け入れてもらえるだろう。問題は孤児、スラム出身の獣人や魔族、親族……まあそいつらはなるべく国の方で面倒を見ようと思う。一応話はつけた、問題が起こらない限りは安心してくれていい」
「流石姫さん、仕事が早い」
しかし若い世代は違うとか、学園にミーナは連れて行かない方が良いかな
『そうじゃな、要らぬいさかいが起こる』
「ふふん、そうだろう。ああそれと、今後の事だが…ひとまずは安心せい、直ぐには何かが起こるわけではない、どうせこの程度の事なら他の国でも起こるだろう。元より歴史を鑑みれば…」
「ちょっと待ってくれ」
「…なんだ?」
「なんで姫さんが歴史から事態を推測している?そんなキャラだったか?なんか…姫さんじゃないみたいだ」
なんか怖い
「なんじゃ、それならほれ、リーリアに言われて少し学んだからだな、力也と話すためにはこれくらい必要だろうと言われてな」
「あー、なるほど納得、戦闘凶の姫さんがなんか政治に少しでも精通してるような雰囲気を醸してるから怖くて怖くて…」
「……まだそこまで月日も経ってないのにその評価とは、なかなか酷いな…まあ事実だから良いがのう」
良いのかよ
「話を戻すが、歴史を見れば一国で起きたこのような暴動は各国に広がり、小さな暴動を生んでいる。だがそれからすぐに何かが起こるというわけではない、数年、長ければ十数年の歳月をかけて不協和音は大きくなり、崩壊する……歴史は繰り返すが、必ずしも同じではない…ええと、何が言いたかったんだっけか」
「…やっぱ姫さんは姫さんかな」
少し安心した
「な、なにを笑っておる!」
「なあに、姫さんはそのままでいいと思うぜー?後、姫さんが言いたかったのは目下焦る必要はなくて、何かが起こるとしてももっと世界に混乱が広がった数年後だろうって事だろ?今回カエイラで起きたのは色々せっかちなやつが多いこの国が恐れられての事、たまたまだろ。それにまだ犯罪者の方は大きく動いてないんだろう?ならこの国が人間中心で統治しやすくなったと思えばいい、まあここにいるメイドは皆過ごしにくくなるだろうがな」
「あ、ああそうだ…くっく、やはりごちゃごちゃ考えるのは性に合わんな、情報は持ってきてやるからこれからは力也が考えてくれ」
「そんな簡単に任せていいのか?俺としては情報が手に入るのはありがたいし良いけどさ」
「もちろんだ、頼りにしてるぞ?」
「…おう」
『照れておるのか?可愛いのう』
うるせ
「ああそれと、大方歴史が必ず繰り返すとは限らないから、今は気にするなーとか言いたかったんだろうが、なんかこの世界の国の在り方は不思議な感じがして、読めない。何も起こらないと思うよりも、何かが起こっても動ける状態にはしといた方が良いと思うぞ?」
「うぐ、了解した…」
「それから……」
左腕で右肩をおさえながら
「試したいことがあるんだが、協力してくれるか?」
こう言うと、驚いたような顔を見せる
side out
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side 英雄
「はぁ、はぁ……」
「英雄様、いくら何でもやりすぎです、少し休憩を…」
「いや、まだ、やらせてほしい」
あの時、手心を加えたのは俺が頼んだから
あれが無ければ力也は腕を失うことなんてなかったはずだ、俺のせいなんだ
「頼む!」
「英雄様……」
自分の力を過信していた?……やっぱそうだよな、完全に
「糞が、何も変わってねーのかよ」
ふざけるな、何が力也の隣に、だ……あの時庇われたのは俺、一緒に庇われたサーニャまでもが自分を責めていた。兵の人達は責任問題になりかけていた…今も大隊長、隊長の人は見られないのはそのせい
何が正しかった?容赦しないことか?それもあっただろうが…
「俺が、弱いから…」
初めての実戦、うぬぼれに興奮があいまった変に浮ついた気持、そんな状態で生死を分ける場に立っていた俺の覚悟のなさ
力也は俺が主人公だの英雄だの言うけどさ、俺の中の英雄はいつだって力也だ
「…早く、追いつかなきゃ」
「英雄様」
サーニャ?
「どうしたの?」
「……無理をしすぎです、少しはお休みになられてください」
「まだ大丈夫だよ、それに今回の件で分かったでしょ?俺はまだまだ弱い」
「英雄様は既にその年齢の中では相当のレベルです。それでも確かに上を見れば限りはありません」
「うん、だからこそ早く強くならないと…」
「ですが」
…?やけに強い決心をしたような顔つき、力也はこういう顔をする人間は強いって言ってたな
「焦って身を壊すのは愚か者のすることです。先日は力也様に完全に完全に助けられ、かつ大きなけがを負わせてしまったのは私たちの力不足によるもの…焦る気持ちはわかります。ですが他人は他人、英雄様の成長の速さに関係はありません、無理をせず少しずつ力をつけることも必要かと」
…………
「だーかーらー、おめーはおめーのペースでやれっつってんだろーが、無理をするのは俺の仕事、英雄は主人公なんだからお前のペースが遅いってことじゃない、お前に合わせて周りが動いてるんだ、気にせずゆっくりいけ」
…………
こっちの世界に来た時に力也にそんなこと言われたよなあ、どうせ力也の事だし学園に行くまでの一か月くらいでまたワンランク上に行くんだろうな
「でもこれで焦ったらまた力也にどやされるか」
「そうですよ、それに才ならば英雄様は誰にも負けません、つまり」
「最終的には俺が一番強くなる、だろ?」
「は、はい」
「驚かなくていいよ、自意識過剰とか言われてもいいけど、これは何度も力也に言われたことだし」
そんな力也の言葉を、真実にするのが俺に仕事だって、昔約束しちゃったもんな
「いえ、そんなことは……」
「ま、とにかくありがとう。どうもかなり焦ってたみたいだ、目が覚めた」
力也ほど早くなくていい、ゆっくり………確実に
「ご安心ください、既に英雄様も、力也様も学園トップクラス、いえ、それ以上の実力をお持ちです」
お、サーニャが初めて力也の事を良い風に言ったな
「だと良いんだけどね。力也に追いつくのは何時になる事やら、今回に関しては数年単位でかかりそうだな」
「学園は良いところです、ですが特に実力主義な側面や、差別に激しいところですので、そのことに関しては忘れないでおいてくださいね?」
「うん分かった、ありがとね」
ソフィーさんはキツイかな?流石に無理はさせたくない
side out
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side デイジリー
後数か月ね
「デイジリー、今回蹴散らした者たちはどうだった?」
「雑魚」
早く戦いたい相手がいるのに、なんであんな雑魚と…
「まあそうだろうな、しかしわざわざ四月から学園に通う必要はあるのか?」
「言ったでしょ?戦いたい相手がいるの」
「闇の方の魔王の子か、確かにあれは化け物だ」
「お父さんもそう思うの?」
「ああ、私も彼の母親には勝てないし、是非ともデイジリーには勝ってほしいが」
「無理だと思う?」
「いや、お前はどうも年相応の感情を持ち合わせてないようえ不安なんだよ、どういう行動に行くか予想できない。まあそれが可愛いところでもあるんだが、一番の不安はデイジリーがあの男に惚れないか心配でな」
「…もう惚れてるとしたら?」
「まだ今は興味がある程度だろう?」
ばれてるのかー、この人も大概親馬鹿なんだよね、お母さんはあんな人なのに。しかも表に立てないほど有名な犯罪者なんだけどな
「うん、私が惚れるとしたら私より強い人、まあ今のとこお父さん以外じゃこんなフランクに会話もしないけど」
「うんうん、父としてはうれしい限り、暫くこのままでいいんだぞ?」
「気が向く限りね、最近お父さんの強さも上限見えてきたし、時間の問題かなって思ってるわ」
まだまだ勝てる相手じゃないけど、親を超すのもこの役目でしょ
「そういえば勇者の二人も学園に編入するらしいな、どうだ?」
「正直に言えば、片方は編入までに相当の力をつけてくるわね」
「ほう、お前がそこまで言うとは、力也君はそんなにすごいのか」
……別に力也の方とは言ってないんだけどな
「もう一人は多分だけど、私より上の存在」
「…は?いや、さすがにそんな存在は……」
あれ?気が付いてない?
「……そう、じゃあいいや」
なんか果てしなく、化け物じみた才を感じたんだけどな…
ま、学園に入ってみたら分かるかしらね
side out
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side レオン
……このアーロンという子はまた面倒な
「リリスの近衛だし、良いんじゃないですか?」
「しかし、狂化を用いる人間を置いておいていいものか…」
「孤児の彼の生い立ちはバレることは無いでしょうし、狂化を使わない限りバレることは無いかと」
しかし防御に特化した水、氷属性の使い手、それだけなら良かったんだがな
「狂化を使うと先祖の血が濃く出て雪男のように全身に毛が生え、身体能力をはじめにあらゆる能力が向上するが………」
「完全にコントロール出来ないようじゃまだ不安が残るが」
「確か彼の祖父に祖母が直訴に来ていましたね、アーロンを捕まえるなら自分たちを代わりに捕まえろとかなんとか」
育ての親の両親、まさに自分の孫のように扱っているな
「愛されているな、まあリリス付の近衛としてなら良いか…」
「そうですね、リリス姉様なら問題ないかと……どちらかというと学園の方が気になります」
「勇者か……」
「はい、いったいどこまでやれるか」
普通なら一年かけてのところを半年と少しだからな、どこまでの成長を見せるか
「リリスは問題ないと断言していたが、どこまでか…」
「まあそれは様子を見るしかないですかね」
「そうだな、魔王の子が多く集まり始めている今の学園の状況だと、大会が不安だが」
「優勝は来年もチュネでしょうか…」
「いや、ジャッポネだろうな」
……父上ならカエイラだと断言するかと思ったが
「その心は?」
「異端児、魔王の息子、巫女…あの三人だけでも脅威だが、更に元闇属性最高峰の家、闇条の娘、氷を扱わせてはローシャのエスポシトに次ぐ郡山の娘、来年は更に魔王の息子である六郎坂勇人を手籠めにしようと各国が動くだろうな……魔王の息子に対抗できる存在など我が国の魔王の娘、デイジリーを置いて他にいないだろう」
……父上が苦虫を噛み潰したような顔をするとわ
「今年は良い、勝負は来年じゃなく、その次だ」
勇者の成長を待つか、一年追加すれば彼らはかなりの域に行くだろう
「そうですね、是非とも勝ち取ってもらいたいものです」
リリス姉様とマールが目を付けた黒戸力也、特に彼には期待だな
そういえばマールがクローンの作成がばれたとか言っていたか?
………彼もなかなかまずいかもな
side out
はい、読んでいただきありがとうございます
この話で一応一章、異世界召喚編を終わらせていただきます。話数的には40となんと言っていいのかわからない中途半端な話数ですが(最凶男は100話でしたか笑)これにて終了です。
今後は2章学園編です。これからも最凶男ともどもよろしくお願いいたしますmm




