4話
ここから本格的にリメイクされてます
序盤は説明多いので流し読みで十分かも
「力也様、お飲み物をお持ちしました」
「ああ、入ってくれ」
「失礼します」
…ふう、城をひとっ走り見て回ったのはバレてなさそうだな…異様なほど早く走れて俺が焦ったがまぁなんとかなったか
「コーヒーです。この国で生産している中で最高級の豆をじっくり焙って」
「ちょっと待ってくれ」
思わず頭を手でおさえてしまう
「へ?な、なんでしょうか…」
「いやまぁなに、この国最高級とか言ったか?そのコーヒー」
「あ、はい」
…コーヒーでそれじゃあ、まさか
「…もうひとつ、さっきの晩飯凄く美味しかったが、食材はどんなのを使った?」
「は、はい。そちらはA〜Bランク魔物を使ったものになっています」
…は?
「魔物……って食えるのか?」
「あ、はい。魔物の中には二種類いて、もともと魔物だったものと、獣が魔力にあてられて魔物化したものとがあります」
「……おう」
「そのうち後天的なものは毒などを持つことが多いんですが、先天的なものは良質な食材になるものも多いんです」
「……なるほど」
「先天的なものは、学者によりますと、生き残るために代を重ねるごとに進化し、体により高い質の魔力をためるようになります。それがより良質な肉などの食材になるのを助けるそうです」
「…つまり強いほど旨い、と」
「一概にはそうと言い切れませんがだいたいそれで問題ないですね。後天的なものは無理矢理体を改造されるのに等しい変化があるそうで、その時の副産物として毒などを体に溜めてしまうそうです。こちらも強くなればなるほど毒性は上がるそうですね」
「なるほどな。そのなかでさっきの飯はA〜Bランク………なんか高そうだがどんなもんなんだ?」
「魔物は現在F〜SとSS、SSSの9段階にランク付けされています。魔物ではない獣はGランクとなりますね。この世界では魔術師としてのランク、冒険者としてのランクなどいくつかランクがありますが、そちらの人間に対するランクは全てG〜Sの8段階になってます。魔物のランクに対して一対一で倒すことが出来るものがそのランクを手にします」
「…つまりAランクの魔物を単独で討伐出来ればAランクということか」
「はい。冒険者としてのランクだとそうなります」
「他は違うのか?」
「はい。魔術師としてのランクだと、そのような強さは関係ありませんね」
「…強さが関係ないとか、どうやってランクつけるんだ?」
「魔術師としてのランクは能力値の最低点で決められます」
「能力値?」
「はい。 能力値には10項目ありまして、魔法操作力、魔力含有量、魔法威力、魔法耐久力、魔力支配力、詠唱速度、魔力変換率、魔法干渉力、魔法抵抗力、そして戦闘経験です。それらを試験により百点満点で数値化して、その合計が能力値となります。その最低点が魔術師としてのランクを決めるのに関わります 」
「…最低点?最高点や合計点じゃなくて、か?」
「はい。ランクは最低点によって決められるのです。理由としては、どこか1つに突出してるものは確かにその分野ではとても素晴らしいでしょう。ですが、上役の人、魔王様や国の重鎮の方々はそのような使い勝手の悪い、ここぞと言うときに不安が残るような者は望んでないんです。必要なのはチームとして足手まといになら無い、最低限その他の能力も兼ね揃えたバランスのよい者、ですね」
「…だがそんなこと言ったら器用貧乏な奴がでしゃばらないか?」
突出した才能というのは使いようによっては恐ろしいものだが…
「いえ、そう言うのは少ないですね。魔術師としてのランクは足切りにしか使われませんので。魔術師としての力量が問われるときは、ランクがある程度あり、かつ合計点、つまり能力値の高さで見られます。能力値の点によって与えられる称号もあります」
「…つまり、平均的にあらゆる分野で使える人材で、全体的に見て能力が高いものが上に行ける、と」
「はい。国お抱えの中には一分野に突出したものがいることも少なくないですが、いえ、必ずと言って良いほどいますが、それらの方々は他の分野を補って余りあるだけの力を持つか、単独行動のみでチームを組まない方が多いですね。それと、魔術師としてのランクがG、1つでも最低限の点数すら取れない人間を蔑む風潮があります。その為そのような方々には生きにくい世界になってますね」
…実力主義の世界じゃ多そうな価値観だな。この世界、前の世界でのファンタジーものよろしく魔法があり、その力で優劣を決められると思って問題ない、かな
それにしてもひとつの事を理解するのにどれだけの情報が必要なんだか…芋づる式にどんどん出てくるな
まぁ聞きたいことを聞いて一段落つけるか
「ふむ、まぁ色々と分からないことだらけで話がそれまくったが……結論として、食材にどれだけ金がかかってる?」
「え、えーと…」
目が泳いでるぞミーナ
「……はぁ、過ぎたことはまあいい」
コーヒーを一口飲む
……!?
「旨い…!」
なんだこれは、今まで飲んだ事の無い無い味、コクに苦味、そしてわずかな酸味……別にコーヒーにうるさかったわけではないが、コーヒーなんて全部同じだと思っていた俺にも分かるレベル……これは違う
「ありがとうございます」
「……ふぅ」
…さて、考えを改める必要があるかな?一応こちらの世界での普通を試してからでも良いか
「あ、そうだ」
「はい…?」
「ミーナは俺が雇ってることになってるそうだが、給金の方はどうなってる?」
「は、はい…えと、基本は力也様が月1万ドルで、私が月1000ドルになってます。実質力也様の月収は9000ドルとなってます」
…おい待て、なにもしてねぇのに年収12万ドル?1200万円だぞ…いや待て、もとの世界とレートが同じとは限らないよな
「ちなみに一般市民の年収はどんな感じだ?」
「一般市民ですか?えーと、国仕えの人が多めです 。月7〜8000ドルですね。これが騎士や兵士の皆さんで、もちろん階級によって上下します。また、この王都のなかでの上流貴族の方々ですと、年収で20万ドルを越える方もいますが、大体の一般市民ですと月2〜4000ドルでしょう。その次に私達下働きの侍女などがいます。王都から離れれば離れるほど平均は下がって、端の方ですとほぼ自給自足が生業のところもありますね」
…いろいろ情報があったがとりあえず一般的には月2〜4000ドル…1ドル100円でも構わない気がしてきた
「はぁ…分かった」
とりあえず資金はあればあるほどいい、それは確かだ。それにあれほどの料理を作れるメイドが月1000ドルってのはかなり少ない気も…年1万2千ドル、120万円か
「あ、食費とかはどうなる?お前月1000ドルで大丈夫なのか?」
「へ?あ、別に今のところ困ることは…一応衣食住の住は保証されてますし、衣は常にメイド服です。食もそれほど高価なものを食べなければ問題ありません。厨房は我々メイドなら自由に使わせてもらえますから光熱費や水道代もそれほど気にしなくていいので」
…かなり国におんぶだっこだな
「そうだな…金の管理はどうなってる?」
「現在銀行に初月給金として1万ドル振り込まれてます。名義登録を明日行う予定です。魔力、指紋、声紋認証となってますのでご安心ください」
…あー、めんどくせぇなそれ…
「登録人数って1人だけ?何人か可能?」
「3人まで可能です」
…3人、ね
ま、それは後でも良いか
「さっきの飯はもうそこから?」
「いえ、先程のは国持ちです。明日の銀行登録から自費となりますが」
「なるほどね…じゃあ食事はなるべく安い食材でいこうか。今後入り用になる物も出てくるだろうから貯めておくに越したことはない」
「は、はい」
「んー、食材選びとかは大体任せちゃっていい?食費は…んー、一般家庭二人分におさめておいてくれれば良いから。…あ、もしかして食事をさっきみたいに全員でとらなきゃならないとかある?」
「あ、え、えと…そのような事はありません。基本的に国王様方は政務に追われて食事のタイミングが合いませんので」
「よし、ならいいな。この部屋でとるんならバレないだろ……これからはお前も一緒に食事をとれ」
「……へ?わ、私は侍女ですよ?」
「気にしないよ…てか元の世界じゃそんなのほとんどいないしね…俺が食ってるとき後ろに待機してるとか言うんだろ?それじゃ俺が落ち着かない」
「で、ですが…」
「ですがもへちまも無い、飯は一緒に食う、これ決定」
「りょ、了解しました…」
「あとはなぁ…このコーヒーの他にも豆ってある?」
「はい。この国で栽培されてるものは全部で五種あります」
五種か
「ならコーヒーは一通り集めておいてくれ。凄く気に入ったわこれ」
「分かりました」
……いやしかし、これは旨い