38話
割りと連続で投稿中
このまま1章最後までいきたいですね
side リリス
……生きてる?
起き上がりながら回りの状況を確認すると何人かは見当たるが一番前にいた力也の姿が見られない
「力也!大丈夫か!?」
……
…………返事なしか
しかし、さっきの爆弾の爆音に対して被害が少ないな、明らかにこの部屋を吹き飛ばすだけにとどまる威力ではなかったと思うんだが、スタングレネードみたいなものか?それならこんな威力でないと思うんだが……力也が何かしたのか?
「う……」
力也じゃない…もう一人の方か、大きな怪我はなさそうだな。それにかばうような形で大隊長が覆いかぶさってるし…
「おい、早く起き上がってこい…力也が見当たらない」
「力也が!?」
上にかぶさってる奴を押しのけて出てきたが、ちゃんと寝かせているあたり紳士ではあるな
……まあ当たり前かな
「力也は一番正面で爆発を受けてたからな、どうなったかが分からん。それにさっきの爆発音で耳がやられた影響かは分からんがいろんな所が機能しない、つまるところ魔力探知がきかん。皆を探すのを手伝ってくれ」
フラフラする、三半規管も多少やられてるな
「もちろんです!」
手あたり次第探し始めたようだが、大丈夫か?
「いた、サーニャ、今出してやるからな!」
…問題なさそうか、我とは違い魔力探知が生きてるのかね
「なら我は…」
それなりに離れていた我ですらここまで飛ばされたって事は、前にいた力也とメイド、それに衛生兵の奴はさらに飛ばされた可能性が高い…壁が崩壊しているあたりを探すか
「……くっ、我の失態だな」
力也達は初めての実践、普通にしていたとはいえいつも以上に負担がかかっていたのは見て分かっていたはずなのに…
「ふっ!」
身体強化で強化し瓦礫を持ち上げるが、上手く魔力が廻らない
初めて経験した人を殺す感覚、それと闘いながら、無駄に情けをかける事は自分の首を絞めるだけだと分かっているからこそ力也は殺した……
「だが、こいつらは…」
魔力封じの拘束具は今回多くは持ち出されていない、元より捕らえるよりも鎮圧を目的とした緊急出動だ、一人ひとつ持っていたくらいだろう…だからこそ、あの女は、魔力封じで拘束されていなかったからさっきのような強行に出ることができたのだ。メイドともなれば魔力封じの拘束具を優先させるはずもない……
「いや、これではただの責任転嫁か」
真に哀れなのは、戦場で気を抜いたこの我自身
ここにいる大隊長は若い、まだ魔物以外との戦闘は少ないだろう。それに実力でいっても我がトップのはず、この場で最も状況を正確に読み取れたはず、なのに
「…くそ」
あれだ、力也に告白したから、あれがマールの言っていたフラグというものにならぬかと案じていたせいで、最後の最後で、まずは終わったと安心してしまった……
「あの場で気を抜かず動き続けていたのは、力也一人だけだったか」
何が世界ランカーか、何もできてはいないじゃないか
「力也、無事でいてくれ…」
ドガッシャアアアン!!!!
「!?」
何事だ!?
「フーーーー、出れた」
「アーロン!!」
「リリス様!ご無事でしたか!」
「ああ、アーロンもよく無事だったな」
「リリス様の指示のおかげでとっさにガードできましたからね、まあ瓦礫に埋もれてましたが」
「良かった、だがアーロンまでもここまで飛ばされたのか」
「……もしかして力也様が見当たらないと?」
「あ、ああ、良く分かったな」
「まあリリス様ですし。カリンは?」
「いや、見つかっておらん」
「そんなバカな……リリス様、カリンの名を叫んでみてください?」
「?…まあ分かった、カリン!!!どこだ!!??」
叫ぶとほぼ同時に後ろの方でガッシャァァッァアンという音がする
「お姉さまぁぁぁぁぁぁ!???」
「うおっ!?飛びつくな!」
「…やっぱり、こいつはリリス様が呼んだらすぐ出てくるはずですので。大方力也様の事が気になりすぎて呼びすらしなかったんでしょうが」
ぐ……こいつはやけに核心を突いてくるな、そんなバレバレかのう……
「まあカリンも問題なさそうですし、力也様を探しましょう」
「ああ、そうしよう…カリン、手伝え」
「はい!お任せください!!……あれ?」
「カリンもか?…どうも、力也様の魔力反応が感じられません」
「そ、それは本当か!?」
「うおっ!?リリス様、焦りすぎです!!自分の魔力探知はザルですよ!リリス様は感じ取れないんですか?」
「我は今どうも感覚器系統が不調での、探知がきかんのだ…それにカリンも感じ取れてないようじゃ…」
「い、いえ…おそらくこれはメイドの娘の方の魔力ですが感じ取れました、そのそばに弱い魔力反応と魔法を使うものあり、です。どうも二つほど下の階ですね」
「そうか!!すぐいくぞ!」
「リリス様、焦りすぎでは?」
「う、うるさいっ!」
side out
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
っつぅ、ったっく、どうなったんだ?
『主、無事かの!?』
……あー、とりあえず両腕の感覚がない上に、右わき腹に激痛がなあ
『痛覚が残っておるなら問題ないな……安心せい、心臓は動いておる』
心臓はってなんだよ、はって
『うむ、他は少々厳しいかのう』
厳しいってなんだよ、とりあえず目を開けるのが億劫だ
『そうじゃな、緊急事態のせいなのかなんか知らぬが少し主とのリンクが強くなって、逆に自由度が増しておる。主が目を開けとらんくても周りの景色は見えるし、主の痛いといった箇所に我も痛みを感じておるのじゃ』
…あー、なんか迷惑かけるな
『しょうがないのじゃ、我は主の精霊じゃからな。それと、主の必死に庇ったメイドと治療魔法の使い手はかすり傷程度じゃ、問題ない』
耳が効かないのは?
『言ったろう?心臓は、動いておると…お、姫様のお出ましじゃの』
無事か?
『問題なさそうじゃな、アーロンとカリンも無事なようじゃ』
そうか、良かった……英雄は?
『見当たらんが、魔力は感じるし問題ないかのう』
生きてるならいい、あいつならどうせ無傷だ
『相変わらずじゃな、主も……とりあえず主は生きておることに感謝じゃ、ちなみに利き腕は行方不明じゃな』
あー、やっぱあれ夢じゃないの?
『夢なもんか、我は痛みすら感じないぞ……存在しない部分の痛覚は流石に感じないようじゃな』
ちっくしょうめが、生活レベルから変えなきゃいけなくなったか……
『まあそれは仕方ないのじゃ、被害は最小限じゃしな。そのほとんどを主が被った以外問題はない』
……なんか怒ってる?
『分かったら二度とこんな事はしてほしくないものじゃな、今回は命があったから良かったが』
わーってるわーってる、取りあえず、何時になったら動ける?
『しばらくは無理じゃろ、治療魔法の使い手も止血と脇腹の治療で限界じゃろう、それ以上の回復は他の治療師が来ないと無理じゃろうな』
敵はまだ残ってるはずだろうにな
『今は休めばいいじゃろう、次こんなことが起こるまでには、もっと実力をつけるべきじゃな』
あいよ
side out
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
side カルタ
「大隊長、残兵の掃討はあらかた片付いたかと」
「そうか……ここもやはりか?」
「はい、敵の戦力として予想していたものの半分以下、上位層に至っては一人もいませんでした。アラルコス様が捕らえた主殺しくらいですかね」
明らかに陽動、だが起こってる暴動は既に鎮圧し終わったはず……まだ何か起こるのか?
「カルタ!」
「?……クリストフか、そっちも片付いたようだな」
「ああ……一般兵レベルしかいなかった事についてはどう思う?」
「この後何かあると思か?」
「質問に質問で返すなよ……だがまあ、それはないだろうな」
……?
「なんでそう言い切れる?」
「気が付かなかったか?高レベルの犯罪者はほとんど絡んでこなかったし、ドゥーカ・ファミリーの当主や筆頭クラスは居なかった、それはおろか……子供を一人でも見たか?」
「!……ちっ、そういうことかよ」
確かに、一部侍女も非戦闘者もいたが、数は少ない上に子供は完全にゼロ
「してやられたな」
相手の思惑通りか、獣人に魔族とこの国から消えるか……いつかはこうなる日が来る気がしていたんだがなあ
「獣人はおろか魔人にエルフにダークエルフまで、混乱に乗じたものもいるはずだが多くは姿をくらませたな…軍の人間の中でもいろいろ問題が起きそうだな」
「ああ、いくらか戦闘の最中に居なくなっていた」
「そうか、俺は初めから参加させずに待機させておいたが、どう動かれるか…」
「ああ、お前の隊は性質上獣人が多いからなあ」
だが、この事態を予想していたからこそ……あいつらを信じきれなかったんだが、な
「獣人の身体能力にはいつも驚かされる……騎馬隊も少なくないだろう?」
「まあなあ、こればかりはしょうがない。たった一日で鎮圧できただけでいいとしよう、被害を確認しようか」
「そうだな…」
何人残っててくれるか、いや…残ってくれた者の立場をどうにかしなければな
「そうだ、聞いたか?」
「何をだ?」
「力也の件だよ」
「何かあったのか?」
「聞いてないか…どうも戦闘中に相手の策から見方を身を挺して守ったとかで、かなりの重症らしいぞ」
「……だからこの戦闘に勇者はまだ早いとあれだけ」
ちっ、あいつはこんなところで失っていい存在じゃねえだろうが
「まあ、国王の考えもわからんではないさ、大聖堂のほうに寄った戦力、こういうところで偶像となる何かがあったほうが人が集まる。まあ安心しろ、既に力也は城に戻ってパトリシア様の治療を受けている、問題ないだろう」
パトリシア様なら大丈夫だな
「よし、事後処理をさっさと終わらせよう」
「ああ」
side out




