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異世界の勇者は何を見る  作者: 小淵執悲
第1章 異世界召喚
36/50

36話

「……嘘だろ?」


銃弾手で掴み取るとか元の世界での創作物位でしか見たことねーよ……こっちの世界の創作物にまだ手が出せてないんだよなあ、どうもそういうのはジャッポネが盛んなようだが



『2発目で既に見切られたようじゃの……どうするのじゃ?』



牽制にはなるだろうから、上手く連携しつつ俺らで決めるしかないだろ



『じゃな、手数で押すかの』



おう


「あら、いとも簡単に見切られたわね」


「!!??」


な、次女さん!?


「ま、マール様!?どうしてここに!?」


「ちょっと用事がね……姉様!」


「?……マールか!」


急に現れて姫さんの方に何かを投げた?てか一体何をしに…


「頼まれてたもの、届けに来たわよ」


「助かる!!」


姫さんが後ろとびにジャンプし拳銃をキャッチする


「拳銃?」


「ええ、まああなた達に渡した過去の遺物の改良品じゃなくて純粋な魔具だけどね」


「へえ…てかなんでこんなとこに?あぶねーだろ届け物くらい兵士にやらせろよ」


「街に過半数が出払っててあまり手間をかけさせたくなかったのよ。目的は果たせたから万事オッケー、あとはあなた達に守ってもらうから。早く逃げましょう」


「逃げる?何言ってんだ、あの虎野郎を潰してからじゃねーと次なんていけねえだろ」


「…あなたはもっと賢明だと思っていたけど、割とそうでもないのね」


「ああ?」


「り、力也様、そろそろあいつの気が持ちそうにありません、魔力がたまって…」


……ちっ、放置してただけでフラストレーション溜めてやがる。てか怒りで魔力上げる野郎なのか?


「そろそろ気が付いてもいい頃じゃないの?あいつは怒りを力に変える主殺し、犯罪者の中でも有数の実力者……その実力は怒りが最高潮にまで達したときに発揮されるわ。早めに逃げないと今のあなた達じゃ逃げることすら許してくれないわよ?」


「…勝ち目は?」


「姉さまが参戦できない今、ゼロよ。先手先手で攻めたところでフラストレーションをためる速度が上がるだけ、それにあれの相手は適役がいるわ」


「適役?…っ!次女さん、すまん!」


急な虎野郎の接近に次女さんを抱えて飛び退く


「アーロン、左!」


「くっ!」


ガァァァァァァン!!!!


数メートルじゃすまないな、そろそろアーロンじゃ受けきれなくなってきたのか


「そこらのドラゴンより強いんじゃねーのか?それにさっきから完全にミーナの援護射撃が躱されてるし」


「あのレベルにはまだ無意味ってことね、いいデータが取れたわ……やっと来たわね」


「何が…」



『主!上から何か降ってくるのじゃ!!』



なに?


「すまん次女さん、もっかい抱えるぞ」


いきなり頭上から何かが無数に降ってきやがった……いったい何が起きてやがる


「……抱えるのはいいのだけど、胸を触るとかのイベントは起きないのね」


「触ってほしかったのか?てかなんだ、降ってきたのは獣人の…死体!?」


「…こういう所は少しルナが羨ましいかもしれないわね」


「のんきにしてるとこ悪いが少しばかり急ぐぞ、あいつが上を見てるうちに距離をとる」


「もう焦る必要はないわよ、姉様のフォローに行きましょう」


「なんなんださっきから、逃げろっつったり助けに行けっつったり」


「状況は常に動いているのよ」


「はあ?」


…?上に誰かいるのか



『主、この転がっている獣人の死体じゃが』



ん?どうした、かなりズタボロにやられて血みどろだな



『…勘違いじゃなければさっきの部屋にいた者たちじゃ』



…は?確か大半が上の階に向かってなかったか?



『分からんのじゃ……何が起きておる?』



「…てか、あの虎野郎なんて恐ろしい魔力だよ、いつの間にあんなにぶち切れてんだ」


「…同胞を殺された怒りでフラストレーションが溜まり切ったとか?確か彼は獣人の迫害を特に嫌う人でしたので」


「アーロン!無事か?」


「かなり痺れてますけど、まだまだ行けますよ。にしても凄い魔力ですね、裏のランキングに乗ってはいないはずですが、恐ろしいほどです」


「あなた達は何も知らないの?彼は元奴隷、昔はまだ契約魔法が完全でなかったために溜めに溜めた魔力でその契約を破壊、その時の主を殺した上にその主人の奴隷の獣人を開放、さらには奴隷商にまで乗り込み破壊の限りを尽くして獣人の開放を行った獣人……そしてこの時殺された主人の息子が彼よ」


「彼?」


「アラルコスゥゥゥゥゥウウウ!!!!!来やがったなアア!?」


屋敷の上の方の階から飛び降りてきたのは…


「ア、アラルコスさん?」


「そう、彼は5歳のころ実父があの男に殺される瞬間を目の当たりにしたそうよ。まあ、それに関しての恨みはそこまでではないそうだけど」


「!?死体が……起きた?」


「これが彼、アラルコス・シャイニーラの魔法、死者使役(ネクロマンス)よ。その能力ゆえに、公の場では使えないようね」


死者の使役だと?



『……無系統無属性の特異型、突然変異のタイプじゃな。しかし死者の使役とわ……』



まっとうな人間じゃあなさそうだな


「使者を愚弄するのも大概にしろよ!?アラルコス!!!!!」


……敵が凄いまともなこと言うと、やりにくいな


「……方法は間違ってはいるが、思想は酷く共感できるしな」


「いくらあなたでも反乱を起こしたら居場所どころか命が無いわよ」


「分かってるよ。で、あいつはアラルコスさんに任せておいていいのか?」


「ええ、あの男は同胞への思いが人一倍、彼にあのように同胞が使われていて黙ってるはずもないし、狙われることもない。それにあなた達じゃ相手にならないでしょ、周りの奴だけなら十分あなた達だけで殺せるはず、そっちに行きましょう」


「まあ、そうだな。行くぞアーロン」


「はい!」





side out


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



side アレン



「ちっ、まさかもう出てくるとわな」


「獣人たちが反乱を起こしたと聞いた時から、君が来ること分かっていた。そろそろ年貢の納め時だな」


アラルコスが手を肩の高さまで挙げると、起き上がった同胞の死体が襲い掛かってくる


「………すまん」


同胞に攻撃を加えるのはやりたくないが、アラルコスとやる以上避けらんねえ、許してくれ


「くっくっ、どうだ?さっきまで仲良く話していた同胞を屠る気分は」


「……黙れ」


「なんだ?私は睨むだけでは殺せんぞ?死体を潰すペースを上げなくていいのか?」


「黙れ!」


なるべく死体を傷つけないよう、足を潰すことで同胞の動きを止める


「ああ、聞いてみたかったんだが……どんな気分なんだ?仲間の仇を前にして、何もできず敗北した時の気分は」


!!!!!


「黙れっつってんだろうが!!!!」


最後の一人の足を蹴り砕き邪魔がなくなったアラルコスへと肉薄する


「おっと、危ない」


「くっ!」


盾のように同胞の死体を掲げたアラルコスへの拳を止め横に跳ぶ


「純粋な興味さ、私はどうも君に父親を殺された時からまともな思考ができなくてね、君はどうだったのかと気になるんだよ、あの時、仲間を攻撃できずにただ逃げまどう事しかできなかった君の気持がさ」


「黙りやがれえ!!!!」


こいつだけは、絶対に許さねえ!!!!




side out



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



side リリス




ふうう、マールの作ってくれた私専用の魔具、これで


「そろそろ反撃と行くか」


流石にここまで抑え込まれていたらフラストレーションが溜まる、この間合いじゃまったく大剣(こいつ)が使えないし、後ろの奥で前衛に守られたあいつ、あいつの後方支援がさっきからうざったい


まあ定石にのっとったいい戦闘だし、遠距離攻撃のない上に大技は挙動が大きくなるからまったく攻撃が届かない、相性最悪ね


「ほんと、マールには頭が上がらんな」


後衛の術師、フードを被った獣人に魔具を向ける


「吹き飛べ、「イグニッション」!!!」


魔法の発動と共に魔道具が起動、私の魔力を射出


「「!?」」


後衛の魔導士に直撃、瞬間爆発を起こす


ああ、いい……その虚を突かれた感じの顔


「私に遠距離が無いって、誰が決めたの?」


まあ、この魔道具がなきゃ遠距離攻撃なんて一つも持ってないんだけど


さっさと終わらせて、あっちの手助けに行かないと




side out

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