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異世界の勇者は何を見る  作者: 小淵執悲
第1章 異世界召喚
33/50

33話

「力也、街に出ていたのか、心配したぞ」


「姫さん、状況はどうなってる」


「あほう、まずはメイドのところに顔を出しに行け、心配しておったぞ」


「あ、ああ…だが、俺も外の鎮圧には行くぞ?」


「はあ、まあそう言うだろうって思っていた、早く準備してこい。お主は我と共に行動するぞ」


「了解」


「力也様!!」


お、ミーナの方から来やがったか


「おお、ナイスタイミング、俺は無事だから安心せい」


「…良かったです。ご夕食はどうなされますか?」


「用意は済んでるな?」


「勿論です」


「なら行くぞ、お前の力を貸してくれ」


「! はい!私の持つ全ての力を持って力也様をお守りいたします!」


「そこまで気負わなくていいさ」


「あら、生きてたのね」


「お、マールも来たのか」


「私は戦えないけど、サポートはね……はい」


「お、新しい拳銃か」


「3丁でいいでしょ?2丁拳銃までは習得してるでしょ?1丁予備に持っておきなさい……あとはこれ、スナイプ用のライフル。このケースにあるから持って行って、必要な時に使いなさい。襷のように担げるようにしといたから。今日渡した弾、持ってる?」


「は、はい」


「そう、なら使い時は間違えないでね」


「使うような事態は避けたいがな」


「なんだなんだ、我の知らないところで仲良くなっとるのか?」


「そうね、私は姉さまと違うけど…こういう方面では私の右に出るものはそうそういないわ」


「くっくっく、力也にも勇者の素質があるのかもな?」


「どういう意味だ?」


「……力也、あなたは知らなくていいわ」



何なんだいったい



『気にするほどのもんじゃないんじゃないか?それよりもどんどん兵が外に行くぞ?行かなくてよいのか?』



「…だな、さっさと行こう」


「よし、行くぞ、アーロン、カリン」


「はいっ!」「いつでも!」


合計4人、まあ少人数のが動きやすいが、ミーナの危険が増えるな



『なかなか強い人間が揃っている、そこまで不安視する必要はないとは思うんじゃがな』



ま、気にする暇があれば常に意識を割いておけばいいか


だが今回はもう一人も気にしてやんなきゃならないんだがな


「行くか、気は抜くなよ?ミーナ」


「はい!」





……





「姫さん!状況はどうなっている!?」


ちっ、なんでこんなに獣人が多い!?しかも…


「全員が戦闘員なのか!?」



「うらあああああ!!!」


「ちっ」


虎の獣人の振るう大剣を二刀の短剣で受け止める


「らあああ!!!!」


「があっ!?」


俺が受け止めていた獣人を横から飛び込んできたアーロンが切り伏せ


「! アーロン、伏せろ!「刀創造(グラデュース)」!」


敵を倒した瞬間のアーロンを狙う別の獣人を日本刀を創り出し横薙ぎに切り捨てる


「ありがとうございます」


アーロンと背中合わせに立ち敵とにらみ合う状態になる


「お互い様だ、だが敵の数がおかしくないか?今まで見かけた数の比じゃないんだが」


「そうですね、どうもこの街の獣人だけではなく地方の者までが集結しているのでしょう…割合は少ないとはいえ獣人は相当数おりますから」


「なるほどねえ」


お、姫さんが敵をぶった切って道を切り開いてる…あの人の一撃はやばいな


「力也!アーロン!いったん引いて軍の本体に合流する、こっちだ!いくぞカリン!」


「はい!お姉さま!」


「はい!行きますよ、力也様!」


「オーケー、ミーナ!先に行け!」


「了解しました」


俺の声に即反応し、建物の影や中を飛び回って援護射撃をしていたミーナが姫さんの方へ向かう





……





「くはあ、いきなり遊撃部隊に囲まれるとは思ってなかったぜ」


「はい、やられましたね…予想以上の敵の数、しかもすべて獣人ですか」


「ほんと、最悪…お姉さま、先ほどは申し訳ありませんでした」


「気にするな、お前に死なれては困る…だが力也よ、よく迷いなく殺してくれた。最悪お主が相手を殺せない場合のことも考えてカバーするつもりだったんじゃが、先ほどはそんな余裕がなかった、すまぬ」


「問題ねえよ、魔物も殺せねえ英雄とは違う、必要なら、構わず殺す」


だがまあ、最悪の感触だよ…ふざけやがって、まだ残ってやがる



『大丈夫かの?いきなりの実戦で即殺しの経験、流石に応えるじゃろ…』



ああ…だがまあ初めてにしては、躊躇いは少なかった、俺はなかなか残虐な性格のようだ



『あれは奇襲からミーナを守るためじゃ、残虐とはならぬさ』



そうかね…まあ誰も怪我がなくてよかった、ミーナの働きがかなり大きかったな



『うむ、メイドの拳銃による牽制のおかげで敵の動きがかなり制限されておったのじゃ』



「ほんと、良くやったミーナ」


「い、いえ、そんなことよりも…ありがとうございました」


「最初のか?気にしなくていい、大丈夫だ」


「いいか、全員聞いてくれ…どうも先ほどの部隊が敵のいくつかある拠点に合流するのを許してしまったらしい」


「姫さん、今回の敵って、誰なんだ?」



『主も残酷よのう、分かりきっておるんじゃろう?』



まあ、確認だよ


「…察しはついてると思うが、ドゥーカ・ファミリー、炎のファール、雷のイカーチ両家が中心のようだ…ファール家は獅子、イカーチ家は虎のような容姿が特徴的な家だ。蜂起の中心はこの両家だが、戦力はそれに同調した獣人族すべて、らしい」


「…最悪だ」


このままこの国から獣人がいなくなるなんてことになったら、どうしようもねえじゃねえかよ


「力也様…」


…チッ


「そんな不安そうな顔するな、何とかしてやるから…」


最悪、手段は選んでられねえな、そう考えながら不安気な顔のミーナの頭をなでてやる


「ふぁ…はいぃ」


「姫さん、その拠点とやらはいくつある?」


「今確認しておる、少し待て…来たようじゃな」


兵か、さてさて、絶望的な状況じゃなきゃいいが


「お伝えします、敵、獣人族拠点、その数10、全て屋敷を拠点としてます」


10、か…戦力はどう分けるべきか


「更に、獣人の動きに同調し、一部のエルフ族が無族のドゥーカ、ナッスクラ家を中心に謀反」


…は?


「同様に闇のシャード家を中心に魔族が謀反を始めました」


「なっ!?」


まずい、まずいまずいまずい、完全にまずい!この国はもともと人間が一番多く、差別意識の一際大きな国なんだぞ?このままだとこの国から、人間以外が消える!!?



『メイドのことを考えると、何としても防ぎたいものじゃな…じゃが、何ができる?』



このまま行けばかなりの確率で人間以外は消される、ロンダンで魔族がそうしたように……人間とその他の種族の確執はでかい



『じゃが軍にも多くの獣人や魔族もおるではないか、奴らはどうなる?』



今挙兵してるものの中で人間以外が恐ろしく少ない…こんなに少ないんだよ、人間と共に戦うやつは、国に忠誠を誓ってるやつは、な



『…まあ、しょうがないのじゃ、今はどうにかしてこの娘が助かる道を考えねば…』



名誉、地位、権力…それがあれば



『勇者としてはまだ未熟、それに伴うもの、さらに実績はまだなし、かの…どうするのじゃ?』



なら…利用する



『?』



俺よりも、大きい権力を


「思ったより事態がやばいな…我に鎮圧できる範囲はするにしても、ドゥーカの4家もが謀反となると…」


「悩んでるところ悪いが姫さん」


「なんだ、力也…?」


「このまま行けば獣人や魔族、つまるところ人間以外の種族はどうなる?」


「……そんなもの、こんなことを起こしたんだ、最早助かる見込みは無いだろ」


「国がひっくり返る可能性は無いのか?」


「謀反を起こしている張本人たちはそのつもりだろうが、不可能だ…我が国には、魔王の一家に加えて、化け物がいる…最悪の場合でもそいつがいる限り国家転覆は無い、この国における人間以外の種族は……!! ミーナの事か」


「ああ、こいつを守るにはどうしたらいい?」


「……全ての人間以外の種族が消されることは無いにしろ、残されたものの未来は暗い、奴隷が関の山だろうな。一番いいのは力也の奴隷に早めのうちになれば、色々と問題は解決するが」


「それは…最後の手段にしたい」


「わ、私は構いませんよ!?」


「お前が気にしなくても俺が気にするんだよ」


「だろうな…だが、そのわがままを通すには力也の権力は弱すぎる、守りきれんぞ?」


「だからこそ、姫さんと取引がしたい」


「…ほう?」


「こいつを俺の元に留めておく、そのくらい、姫さんの地位、名誉を持ってすれば可能だろ?」


「まあ、不可能ではない、程度だがな。だが我にそれをやらせて、我に利はあるのか?」


「だからこその取引、相談だ…何をしたら受けてくれる?」


「………まったく、無理を強いる」


「その割には、うれしそうですよ?リリス様」


アーロンがちゃちゃを入れても動揺した様子はない


来るとするならば、俺を自分の下に置く、それか国に対して何らかの見返りか……


「りぃきぃやぁああ?????なぁにお姉さまに言ってんのよ、そんなことしたらお姉さまの地位まで危なくなるじゃない!!」


「落ち着け、カリン…そうだな、なかなか危険だ。だが、面白い」


「受けてくれんのか?」


「もちろん、代価はもらう…力也よ、我の物になれ」


「…ふぇ、ふぇええええ!???」


そっちか


「驚きすぎだミーナ、可能性としては高かっただろ…一応聞くが、私兵として動けって事か?」


カリンが口をパクパクさせてフリーズしてる…ずっとそれなら静かでいいんだが


「いや、違うな…そうだな、こう言うのがいいか…我の男になれ、力也」


「ななんあななんあなんあなん!?!?!??!」


残念、復活したか


「カリン!こんなとこで壊れるな!!まだこの後戦闘が残ってるんだぞ!」


「まあ安心せい、一夫多妻はなんの抵抗もない、いくらでも女を作れ…ただ、正妻の場所を我に寄越せと言っておるのだ」


「す、すまん…思考が止まっていた。なんだ?今のは愛の告白か?」


「そそそそおおおおんなわけないでしょうがあああ!!!お姉さまがあなたなんかにいい!?!?」


「そうだ、我は力也、お前が好き…のようだ」


「お、おおお、お姉さま!?!??!」


「ようだ、でそこまで言うんかい」


「我をこのような気持ちにしたのは力也だ、責任は取ってもらう…ぞ?」


うぐ、顔赤くして少し上目使いとか反則だろ


「…リリス様が女になってる」



『主よ、メイドが真っ白になって口をパクパクさせておるぞ』



……告白までは予想外だった、かなり焦ってる


「顔を赤らめながら言うな、恥ずかしくなる」


「どうする力也、今お主の気持ちが一番向いてるのはそのメイドだと言うのは分かっておるし、我とお主ではそれなりに年も離れておる…やっぱ、嫌……か?」


「いや、まったく嫌じゃねえしむしろ光栄なんだが、うーむ、なんかこういうのは違う気がするんだよな」


主にタイミングが


「…そうか、まあよい。少し我も焦りすぎた。そうだな、この暴動の鎮圧、ここでそれなりに働け、それに応じて交渉はしよう」


「…いいのか?」


「ま、何を言おうが我が力也に惚れてる事実は変わらないしな」


「…あ、力也様が赤くなった」


「なってねえよ、変なこと言うなアーロン」


「顔をそむけながら言っても説得力皆無ですよ力也様。にしても、リリス様も告白するならこんな流れに任せないでもっとムードを考えてください、一応女性なんですから」


「い、一応ってなんだアーロン、一応って…まあよい、我もメイドに一人エルフがおる。そいつと一緒に守ることは可能だろう、任せておけ」


「お、おう…頼む」



『思ったよりスムーズに事が済んだのう?かなり動揺してるようじゃが良くほとんど顔に出さんのう、多少赤くはなっておるが』



う、うるせえ、告白なんてされたの初めてなんだよ



『初心よのう。まあよい、今はまだ殺し合いのさなかじゃ、気を引き締めい』



おう…まずはしっかりと生き延びる


………!


やべっ、完全に英雄の事を忘れてた!あいつまだなんもやらかしてねえよな!?


「…よし、そろそろ行くか、拠点の一つを兵と協力して落とすぞ」


「お姉さま………は、はい!今は集中!」


「ちゃんと切り替えろよカリン?」


「了解、ミーナ…行くぞ」


「は、はい!」


英雄はどこにいるんだ?



『にしてもあの姫さんが告白のう…』



ぶり返すな、クロ



『クククククッ、若いのう』

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