25話
「終了!結果98/100です!」
「ううううう、悔しいです」
「いや、たった二ヶ月でここまでの成果は凄いぞ?」
ここ城の別棟でこのライフルを見てから二ヶ月ほど…ほぼ毎日ミーナは通い、俺は週に一度くらい顔を出し成果を見る程度だった
「しかし、力也様は既に大隊長と引き分けるほどになっていらっしゃいます…まだまだです」
俺は姫さんと外の魔物の討伐に回ったり、いろいろな兵士との模擬戦をすることでこの世界の戦闘に慣れた…それにより魔法に対する対処の方法がだんだんと分かってきたところだな
「ですが…力也様は銃型の方はマスターしておりますし、私も平時はそちらを扱うことになると思うのですが…力也様は1000/1000、全く外さないですよね」
ライフルは常に持ち歩くことはまあ可能だが、即時身を守るのに使えるかと聞かれれば否だろう
ライフルの狙撃訓練は室内では行えないことも考えてまずは銃、ハンドガンタイプのものの訓練を行っている
「俺の場合何年もかけてあのレベルだ、一朝一夕で出来るかよ」
二丁拳銃までなら叩き込まれた…狙撃は逃げだと回避方法は叩き込まれたが使用法は知らん
てか狙撃用ライフルとハンドガンとじゃ使い勝手は全然違うよな
「そ、そうですよね…申し訳ありません」
しかし二ヶ月でこの域なら一年たたずに追いつかれるんじゃないか?
「進捗はどう?」
「マール様…的を扱った訓練では98/100でした」
「あら、上々じゃない…そろそろ外でライフルの方の訓練もしたいわね。でもまだ12月の5日…クリスマスまでは20日もあるわね」
「…?なんでクリスマスが関係するんだ?」
「あら、まだ聞いてないの?」
「なにを?」
「パーティーの話よ。あなたたち勇者のお披露目も兼ねた、ね」
「…全く聞いてねえな」
「そう、私たちの世界には過去の勇者の持ち込んだ文化が多く残っているのだけれど、クリスマスもその一つね。良く分からないけど木に飾りを付けたりプレゼントを買ったり…まあ色々あるけど、パーティーを行うのもひとつの習慣ね」
元の世界のクリスマスと大差なさそうだな
「そこであなたたち勇者のお披露目を行う予定よ。場所はここカエイラで行うのだけど、呼ばれるのは各国魔王や王族、さらにそれに準ずる貴族ね。選ばれし名家も呼ばれるし、巫女も呼ばれるかしら」
「…やけにお偉いさんが集まるな」
「事実上仲が悪くても体裁はつくろわなくてはね…断ったら断ったで色々あるし、大体全員参加すると思うわよ」
「…ま、妥当な時期か」
国の重鎮が集まるなら相当な腕利きも集まる…そこに素人状態の俺達を連れて行ったらどうなるかわからんしな
「ああ、その後なら大手を振って外に出れるわけか」
「そうよ。それまではまだ勇者は居ないって事になってるし、他国や民衆の認識は勇者は召喚された時点で相当の実力、学園でも名を馳せる存在…まあそうなってから知らしめてるわけだし当たり前ね」
…まあ一部の実力者とかは事実を知ってそうだがな
「…ならそれまではハンドガンの訓練かな。その後解禁されたら外で魔物相手に狙撃の訓練でもしよう」
「は、はい、分かりました!」
なんも口を挟まなかったところにいきなり話を振られて少し焦ったかな
「じゃ、俺は今日も何人かと約束してるから訓練場に行くわ」
「はい、頑張ってください」
「学園で恥をかかないようにね」
「あいよ」
…
……
「あ、力也様!やっと来てくれましたか!」
俺が訓練場、騎士隊の訓練場に行くと大隊長のカルタ・ツォーリが声をかけてくる
「すまん、話が長引いてな」
俺を見つけた兵士が何人か寄ってくる
「今日も力也様の相手をしたがるやつが多くてなあ…頼めますか?」
「こっちが頼みたいくらいだから丁度いい…今度はカルタに勝つためにもレベルを上げないとな」
「怖いですね…前回も何とか引き分けって感じになってしまいましたし、私も全力で勝ちを狙いますよ」
「上等」
ここ数週間はずっと騎士隊の訓練に顔を出し模擬戦を行っている。外回りの警備でいない隊もあるが基本はどこかの隊が訓練しているしな。姫さんと面識がある中で一番気さくな大隊長はこのカルタだった。そして強い…いろんな技を初見でいなされたときはショックがデカかった
「勇者様!俺とやりましょう、丁度自分の得物は大隊長と同じ片手剣ですし!」
「そうか、よろしく頼む」
はじめ来た時にカルタと模擬戦をやり引き分けてからはこんな調子で多くの兵士と模擬戦を行っている。騎士隊は魔法に頼る部分が少なく、一番身体強化の錬度の平均が高い隊だ。そのため俺にとっても最も動きやすい隊となってる
中には強いやつもいて一本先にとられることもあり、面白い
大隊長と引き分けた俺から一本取れたら本当に大喜びで大隊長に向かっていくが大体のされている…カルタの実力の底が知れない
「さて、じゃあ一本先取で行こうか」
「はい!」
side out
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side 英雄
「…ふう」
「勝者、英雄様!!!」
よし、これで魔法剣士隊の隊長五人は倒した
「流石ですね、英雄様」
そういいながらサーニャがタオルを差し出してくる
「ありがと。ほんとに強いね、この隊の人たちは…」
「ですが英雄様は魔法剣士隊のNo.2にまで勝ちましたしあとはナタリア様だけですね」
確かサーニャも隊長と模擬戦をやって、勝てはしないもののかなり善戦してたよね…負けてられないなあ
「だね…力也は大隊長と引き分けたらしいし、それからあと少しでもう1ヶ月だ…どこまで強くなってるのかわからないし、もっと頑張らなきゃなあ」
「もう一人の勇者が引き分けたのは騎士隊の大隊長ですよね?あの隊は魔法をうまく扱えないもののたまり場ですよ?その大隊長なら英雄様なら勝てると思いますよ!」
「サーニャ、力也が引き分けたって事は力也が勝てなかったって事…だったら俺じゃ勝てないよ」
「で、ですが…」
「英雄様、やってますね」
「ナタリアさん!」
「ナタリア様、騎士隊の大隊長なら英雄様なら余裕ですよね!」
「い、いきなりどうした!?」
「サーニャ、落ち着いて…今力也が騎士隊の大隊長に引き分けたって聞いて、俺はまだまだだなあって話してたところなんですよ」
「…それは本当ですか?」
「?力也が大隊長に引き分けたというのですか?多くの証人がいますので確かだと思いますよ」
「ど、どうしたんですか?怖い顔になってますけど…」
「…騎士隊大隊長、カルタ・ツォーリ…彼は同い年の騎馬隊大隊長とともに、この国最高戦力の大将軍様に次ぐ双頭、左翼のカルタと呼ばれる男だ。騎士隊と言う魔法の扱いが苦手な者たちで作られた隊にもかかわらず、戦果は軍随一…その大隊長に引き分けたとなると、既に私では勝てませんよ…?」
「え!?…え!!?」
「サーニャが言いたいこともわかる。あの隊は元々今ほど強くは無かったし、カルタ氏が大隊長になるまではそれは変わらなかった。それにそれを認めたくない中途半端な者たちのせいで彼の事は一部の実力者と直接相対したもののみが知ることとなってしまっている。だが彼の影響、身体強化だけでもここまで行けるということを目の当たりにした隊の者たちの士気の向上…今では相当強力な隊となっています。彼ははじめは全力を出すことをしませんが、その前段階でも相当なつわもの…それに引き分けたとなれば世界ランク100は厳しくても、それに準ずる力は既にあるはずです…少なくとも私と同等か、それ以上の力を既に持っているかと」
「なっ!!?」
…流石は力也、いつの間にそんなとこまで駆け上がってるんだよ
てか本気出さないで世界ランク100圏内のレベルとか、その大隊長やばすぎだろ
「ナタリアさんは世界ランクに乗っていないんですか?」
「残念ながら、私はまだ大隊長としても若輩、大隊長の中で唯一世界ランクに乗らぬ存在です」
かなり若いし、しょうがないよな
「…ナタリアさんですら乗らない世界に、力也は片足突っ込んでるんだよな」
だが流石力也、そうでなきゃ力也じゃないよな
「俺も、早く追いつかないとな。ナタリアさん!」
「は、はい!?」
「俺も世界ランク100位入りを目指す…一緒に頑張ろうね!」
「は…はい!」
力也の隣に立つには生半可じゃ無理、そんなのわかっていただろ…ここからだ!
side out




