22話
連続2話目
side ミーナ
「…力也様は今頃危険地域ですか」
本当ならば付いて行きたいところですが、既に力也様のレベルはこの国の中でも上位に食い込んでますし、足手まといもいいとこですね…
「……どうしたの?」
「!マール様」
考え事をしてて気が付かないとわ…
「あなた、なんでここに?それなりに戦闘を叩きこまれてはなかったかしら?確か勇者の二人は戦闘訓練に行ってるはずよね」
「私はメイドですので、ソフィーさんも残っていますし…」
「ソフィーの方はあなたとは違って完全に勇者仕えのメイドとして訓練されてきた、あなたみたいに暗殺者としての訓練を受けたメイドとは違うじゃない、当り前よ」
「…そうですね」
ですが、今回の予定は魔獣の討伐などの正面きっての戦闘、私の土俵じゃありません
「いくら力也が強かろうと、まだこの世界に来てひと月、それなのに勇者としての評価は既にもう一人寄り、誰に狙われてるか分からない状態よ。その手の刺客から守る必要はなくって?」
マール様が下の名前で、しかも呼び捨てになさるとわ…かなり珍しいですね。力也様の事を気にかけていらっしゃるのかしら?
「そうですね…ですが敵などの感知に関しましては私並みの実力が既におありで、私なんか足元にも及ばぬほどの戦闘能力をお持ちですので…私の出る幕はそうそうなさそうに思われますが」
「…今回の勇者は異例の速さで成長してるのね。今度私の研究室にあなたの主を連れてきなさい…ああ、その時には暗殺者としての側面も見せておくのよ」
…暗殺者なんてばれたら引かれるんじゃないか、そう思って言えずに過ごしてきましたのに、軽く言いますね
「あなたが力也の力になりたいのならためらっている暇はないわ、私がしてあげられるのは手段を与えること。使いこなすには相応の時間が必要よ」
「承知いたしました」
…そうですね、力也様のお力になれなければ私は用無しかもしれませんし
「あと、私の研究に付いては力也には良いけどもう一人には教えないで。最近また力也がこの国の研究に興味を向けだしてるから隠すことをやめるだけ。もう一人にはまだ骸でいてもらわないとね。ま、しばらくは力也にもすべてを教える気はないけど」
「ご安心ください、もとより漏らすようなことは致しません」
「なら良いわ」
そう言ってマール様は研究を行っている別棟へと姿を消される
…それにしても、力也様は研究に興味がおありだったんですね。本などでよく知識をお付けになさっているとは思っていましたが
「…力也様のお力になるための手段ですか」
既に力也様はあらゆる武具に精通していますし…魔具系統か、飛び道具ですかね
「あ、夕ご飯の買い物に行かなければなりませんでしたね」
今日の晩御飯は何が良いでしょうか…遠征帰りですので疲れてらっしゃるはずですし、疲労回復に効果のあるものを多めに…
side out
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side リリス
「…ペッ」
チッ、厄介なのにあたったな…
「お姉様、私が陽動を!アーロン!しっかりお姉様をお守りしなさいよ!!」
「わかってる!リリス様、すいませんでした…ケガは?」
「大丈夫だ、この程度でやられるか。次で決めるぞ」
「「はいっ!」」
…今のは結構危なかったな
竜種、グランドドラゴン…初めて会ったが流石はB級上位か、楽には倒せんな
「あ・ん・た・の・あ・い・て・は……私だああああ!!」
自分より圧倒的に強い相手に対しても臆することなく立ち向かう勇気、やはりカリンのああいうところは良いな
だがカリンの魔法は竜種の皮を通らない、目くらまし程度か…
「リリス様、来ます」
「うむ」
愛剣に魔力を込めながら上段に構える
「はあああああ、だあっ!!」
がきっという音とともにアーロンがグランドドラゴンを受け止める
流石の防御力に、鍛えられた足腰だ
「そのまま逃がすなよ?」
「「ライトチェイン」!!お姉さま、今です!」
光の鎖による呪縛…すぐ引きちぎられるが、一瞬でも足止めできれば十分だ
「くたばれ、「バーン・スラッシュ」!!」
炎を高密度に纏い、焼き切る!
…
……
「…ふう、グランドドラゴンを前にしてもちゃんと戦えるようになったな,二人とも」
「はは、正直小回りの具合も力も力也様の方が上で…」
なるほどのう、アーロンは力也で多少今のレベル程度なら慣れておるか…まあ火力不足で勝つことはできんが
「うう、お姉さまの力がなければ勝てませんでした…」
カリンはスピードはあるんじゃが決定力がのう…
「あの速さの陽動は誰にでもできるわけではない、そこは自信を持て。あとは二人とも決定力、火力不足じゃな。そこを上げればB級を一人で倒せるようにもなるさ」
…この年齢でB級を倒せれば相当なレベルなんじゃがな、今年の学園、二人が卒業と同時にジャッポネの学園に入学した闇のアリスの息子、その周りの者たち…特に去年の段階でこの二人をも圧倒した闇属性使いの宵闇弥生の存在がこの二人の頭には残っておるのう
「…このレベルを一人で倒せるようになるには…どのくらいの鍛錬が必要ですかね。それも学生のうちに」
「…学生のうちにB級を倒せるような存在はそうそうおらんぞ?」
それこそまともな人生を歩んでいないようなやつでないと、な
「…お姉さま、今あの勇者はどのくらいのレベルですか?」
「ん?ルナがぞっこんの?」
「いえ、お姉さまがご執心の方です」
「別にご執心というわけではないのだがな」
まあカリンもアーロンも力也のことを認めている…城の中では数少ないがな
「まあ、力也のことだ…今頃B級程度殺戮して回ってるのではないか?」
「殺戮ってそんな言い方…力也様ならあり得そうですね」
苦笑いしながらアーロンは返し
「ぐぬぬぬぬ、私だって…」
カリンはなんか闘争心を燃やしてるな
「まあ二人は力也と手合わせしたからわかると思うが…力也の体術は一朝一夕で身に付く程度ではない、何年も何年も研鑽を重ねた結果だ。そのような奴が手強いのは、知っておるだろう?」
カエイラで我より強い…そして二人よりも年下の
「…デイジリー・シャイニーラ」
魔王の娘は、やばい
side out
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side ベアトリス
「くしゅんっ」
「なんじゃ、風邪か?」
「…私が風邪なんか引くと思ってるの?お母さん」
「思っとらんさ、誰かがうわさでもしておるんだろう」
「そんな迷信信じるタイプだったっけ?」
「方便じゃ、特に意味はない」
「そう…」
…それにしても、この成長速度、流石は私とアラルコスの娘じゃな
「…お母さん、ポイズンドラゴンが子供を取り返しに来たよ」
…ふむ、約20頭くらいかの
「子供でB級、あれは全て大人か…A級は下らんじゃろう。消してこい」
「了解…」
子供のポイズンドラゴンの死骸に腰かけていた状態から一瞬にして空を飛ぶポイズンドラゴンの目の前へ…身体強化のレベルなら私は超えたか…もうアラルコスに頼まねばな
ほう、手にシャイン・ソードか、私程ではないが濃度的には簡単にポイズンドラゴンを焼き切れるな
ポイズンドラゴンは毒を纏い触れただけで即死レベルだが、足にも高密度の光を纏っておるし問題ない…余裕じゃな
…
……
「どうじゃった?」
戦闘が終わるころに落下点に付くよう歩いていたんじゃがな…私の予想を上回る速さで終わらせておる
「…毒が腐食するタイプで、死骸が腐りだして臭い」
龍の死骸、それも20を超える数が積み重ねられているので相当な高さになっているが、その死骸の上に腰かけるデイジリー
「ならそんなとこにおらんでもいいではないか」
「…死骸の上が、好きなの」
…くっくっ、この子は確かにあなたの子じゃな、アラルコス
side out
思った以上に化物に……(笑)




