第二章 始まり
今ではもう昔のお話です
あるところに、一人の美しい巫女がおりました
「え!?アレってあそこにいた巫女ぉ〜!?」
信じられないという声でフィンが言う。聖蘭は頷くことさえできなかった。
「あら。どうかしたの?」
にこにこと美しい笑みを浮かべて、巫女は笑っていた。会話の相手は、リスのようだ。
「巫女様、ご機嫌麗しゅう。貴女様のお姿を拝見しにこちらに参ったのですよ」
「まあ。お上手ね。それにしても、今日は本当に良い日。天空の神様がお喜びになられてるのかしら?」
巫女は、そう言って空を見上げた。
「ん?っあっ!!巫女様、ラシル様ですよ」
リスが微笑んでそう言った。
巫女はゆっくりと、緩慢な動作で振り返り、にっこりと笑った。
「ラシル」
フィンと聖蘭が振り返ると、そこには銀髪蒼目の青年がいた。年は18くらいだろうか・・・。
ラシルという青年は穏やかな笑みを浮かべると、巫女の方へ歩いていった。
「おはよう。今日はとてもいい日だね。天空の神がお喜びになられているのかな?そういえばさっき不思議な鳥を見かけたよ。見たことも無い鳥で、とても美しい声で鳴きながら飛んでいたんだ」
フィンは目を丸くする。
「ガルーダかも知れない!」
「落ち着いて、フィン!だからって、飛んでるガルーダを捕まえる事なんてできないよ!」
フィンは我を取り戻すと、うなだれた。
「本当?是非見てみたいわ」
「きっと見れるさ。君なら」
ラシルはそう言って真っ青な天空を振り仰いだ。雲ひとつ無い快晴である。
「楽しみに待ってる」
巫女はラシルに微笑みかけた。
―ピルルルルル・・・
―ばさっ ばささっ
大きな鳥が、天空から舞い降りてくる。
「ガルーダ!!」
―ピルルルルルルルル!
嬉しそうに泣きながら、ガルーダはフィンの肩に降り立った。
甘えるようにフィンに擦り寄っている。
「あははっ ガルダ、くすぐったい!」
聖蘭はそんな一人と一羽を温かな眼差しで見守っていた。
―ぱあぁぁぁぁぁぁあああ
突然何の前触れもなしに辺りが光り輝き、目を開くと、そこは聖アルスフォード学院の男子寮、フィンの自室だった。
相部屋のカイルはいない。
「ここ、本当に俺の部屋か・・・・?じゃあ、聖蘭は・・・」
―ブー、ブー、ブー
携帯電話のバイブレータが振動する音に、フィンは慌てて携帯を見た。
―着信、 夏樹聖蘭
どちらが名前か分からないような名前が表示されている。もう見慣れてしまったものだ。
「聖蘭ッ!!」
フィンは迷わず通話ボタンを押す。
『あ、フィン、大丈夫!?私今自分の部屋にいるんだけど、フィンは何処にいるの!?』
慌てた様子で聖蘭が電話越しに聞いて来る。聖蘭が無事だったことに、フィンは安堵の溜息をついた。
「俺も自室。気がついたら寮にいた」
聖蘭が安心したというのがすぐに分かる。
『良かった。急に離れ離れになっちゃったから、大丈夫かなって心配した』
フィンと聖蘭は、お互いの安全を確認すると、今日のところは休もうということになった。
これはまだ、始まりのほんの少しを見たに過ぎなかったのであるとも知らず・・・
こんばんは〜☆まったりと更新してます蒼氷の国の聖蘭、第二章です♪とても眠いです。。眠くて書いたので文章荒れてるかもしれませんが、大目に見てやって下さい。感想、要望等頂けると光栄です