第四話 森
暗闇の中、二つの影が動いていた。
「さっすが、樹海。感覚がおかしくなっていく…」
樹とかおりの二人は、ある森の中へと入っていった。
夜の闇は深く、森の中へはもはや月の光さえ届かない。
二人は、暗闇に臆することなくさらに奥へと進んでいく。
「ここ?」
「だろうな。ここだけ『違う』」
二人は森の中、一際大きい樹木の前にいる。
「そうだね…でも…」
「ああ、でも、ここじゃない」
二人はその樹木を見ながら話している。
いや、正確には樹木から発せられている『気』を視ながらだ。
「ここまでの情報は合ってる」
「探り切れなかったんだろう。ここまで合っていた事は、調べた奴が誇りにしていい」
『組織』の人間とはいえ、普通の人間がここまでこれたのだ。
そして、その人間が持って帰った情報で二人はここまでこれた。
「うん。ここからさらに探るのは」
「俺達だな」
「うん。卓也が目覚める前に全部終わらせる」
「ああ。急いで、それでいて完璧な仕事をしないとな」
「うん」
「…行くぞ」
「はい」
ここからはもう、甘えは許されない。
二人は、今度は周りを警戒しながら歩いて進み始めた。
「…遠いな」
闇の中、行くべき『道』は解る。
しかし、それはあんまりにも長い『道』。
「…多分…でも、どこかに近道があるはず。近道じゃなくてもそこに通じる『道』が」
「…そうだな、やってみるか」
二人は神経を研ぎ澄ませながら辺りを『探った』。
暗く深い闇。
その闇の中に、自分の魂を同化させるように。
闇の中に幾筋もの『道』が視えた。
危険があるかもしれないが、最短の『道』と思われるのが幾筋か視えた。
その中の一つを二人はたどって行った。
もうちょいどうにか長くしたいな…。