第三話 逝き道
事の始まりは一ヶ月ほど前だったろうか。
卓也がよく利用する情報屋や協力者と信頼関係を作ろうと、かおりが裏を歩き回っていたときの事だ。
情報屋の一人から気になる話を聞いた。
かおりはその話を元に情報を聞いてまわった。
そして、ある確定的な情報を入手してしまった。
しかも、それをどうにかできる可能性があるのは、かおりと二海道樹、恐らく『組織』でいや、日本でその二人だけだと言うことを知ってしまった。
かおりと樹は卓也に知られないように細工をし、行くべき所へ向かっていった。
「情報が正しかったら期間的にギリギリだね」
夜の闇、建物の間を木々の枝枝を飛ぶように移動しながら、かおりと樹は話をしていた。
「そうだな。だが、大丈夫だ」
「うん。間に合う。そんで、卓也が目を覚ます前に帰れる」
卓也にかけた眠りの術は一日で効果が切れる。
明日の晩までに全てを終わらせて帰らなければならない。
「ああ…。だが、卓也に秘密にする必要はあったのか?」
「だって。多分卓也は、知ったら一緒に来ちゃうもん。卓也には出来るだけ傷ついてほしくない」
今回の件は恐らく近くにいるだけでも『人間』は影響を受ける。
体が傷つき、恐らく『魂』も傷つくだろう。
かおりと樹も影響は受けるが『人間』ほどではない。
「心も体も?」
「そう。だから今回は樹と二人。ほかの『人間』は対処できない」
『人間』ではない二人。
一人は異世界からの来訪者。
もう一人は人間によって創りだされた『人間』。
「情報が確かならそうだな」
「うん」
二人は行く。
最悪が起こる場所へ。
だから、短いって!