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第一話 最初
「ごめんね卓也…」
青年がはベッドで眠っている。
青年の名は、宮神 卓也。
『組織』の術者だ。
私は枕元でそっと囁いた。
「私は、卓也のそばにいられて幸せだったよ…だから、大丈夫だよ」
私は、そう言うとその場から離れた。
そして、私の名はかおり。
『組織』の人間が創った『人間』で術者。
私は仕事もなく、穏やかに過ごしていた卓也を術で眠らせた。
卓也は、眠っていた。
私が眠らせた。
連れて行きたくなくて…。
見られたくなくて。
…私の本当の力を
…私の『死』を
だから、私は一人で行ったのだ。
本当の『最悪』も考えずに…。
その日は朝からどんよりとした雲が空にかかり、とても気持ちのいい朝とは言えなかった。
しかし、その日にあの情報はもたらされた。
その情報によってかおりはあの場所に行ったのだ。
そして、もっとも最悪な事態を引き起こしてしまった。
自身の存在すらかけた賭け。
それにかおりは負けてしまったのだ。
月一ぐらいのペースで更新できたらいいな・・・