八月九日。午前十時二十六分
希望が有るからこそ生きていける。
僕達は何とか勝利したが、それは運が良かっただけだった。運が良かった?果たしてソレはそうだったのだろうか…。ある意味では、コレが僕達が地獄への門を開いた要因の一つだとも思う。
暫しの間、僕達は惚けていた。作戦の達成感。欲獣を退治出来た事。村人を護れた事。【咎】が有れば僕達は生きていけるのだと【希望】も持てた。希望は大切なモノだ。希望が有るからこそ未来に生きている自分達を映像として認識出来るからである。
村に戻ろうと腰を上げた時だった。村の方向から轟音が響いた。何事かと僕達は顔を見合わせ、一様に走り出した。時計を視る。時刻は十時二十六分を示していた。全力で駆けていけば二十分足らずで着ける筈である…。僕達は無言の儘に全速力で走った。村の方向、上空に視軸を移す、視た事の無い雨が多量に降下している…。
《夏希…。》
夏希への想いが心を満たしていった。早く着きたい一心で、僕はまた水を含む。身体能力が少し向上し素早さが上がると、僕は脚を全力で動かした。
「先に行って…。」
真中が叫んでいる。
「小さい銀鍍金塵蜘蛛が何匹も追ってきてる。此処は私が何とかするから、早く村へ向かって…。」
後ろを振り返ると真中はユックリと速度を落とし、立ち止まった。
「解った。任せる…。」
そうして、僕達は村へと急いだ…。




