15/18
第一部隊隊長 皇 煌火。
もう雨は止んだよ。
「どうしたんだ?煌火。もうそろそろ出発の時間だぞ。」
「あぁ…。淳弥か。」
そう云うと煌火は前方に広がる白く煙る空に向かい指を指した。
「光化学スモッグに覆われてはいるけど、きっと空の上は晴天なんだろうね。でも、彼処だけ雨が降っている…。天泣と呼ばれる雨。天照雨とも呼ばれる雨だよ…。」
淳弥は優しい瞳で煌火を見守る。
「あの時の事を思い出してたんだ。」
煌火は優しい瞳で空を視た。
「夏希に逢いに行こうとした…。あの時…。僕は幻を視たんだ。死ぬ瀬戸際に空から沢山の折り紙の鶴が舞い降りてくるのを…。微かに聴こえたんだよ…。夏希の聲が…。【貴方は…。死なないで…。】ってさ。」
何時の間にか後ろにいた一沙が二人を同時に抱き締めた。
「何の話をしているの?」
一沙は泣きそうな笑顔で明るく…。
そう云った。
「珍しい天気だなぁって…。ほら虹が見えるよ。綺麗だなぁ。」
煌火は空を見つめ、柔らかく微笑む。
【もう雨は止んだよ。だから君には綺麗な笑顔で笑っていて欲しい…。なぁ。夏希…。今…。僕は上手に笑えているかな?】
彼の者は誰よりも優しく。
されど戦場を支配する力を持つ。
命を犠牲にする事すら躊躇せず。
総ての敵を殲滅する。
皇煌火。
第一部隊隊長 【信仰の咎】
【十死零生神風】




